13:夏のサバイバル。
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母から事情をきいた因幡は、棒アイスを食べながら、まずは夏目に電話をかけて事情をそのまま伝えた。
「つうわけで…、海に行こうって頼んでくれる?」
“あははっ、因幡ちゃんのお母さんの資料集めね。オレに電話かけてきたのは、オレから頼んだ方が来る確率が高いって考えたから?”
「……そうだよ…」
考えを読まれたのが気に食わず、因幡は口を尖らせる。
「あいつ、海に行きたいって顔でもねーし…」
“神崎くーん、明日海に行こうよーって因幡ちゃんが言ってるよ”
「あ! オレからは内緒でって…! っていうか、一緒だったのか!」
すると、夏目が神崎の方に電話を向けたのか、電話越しから苛立ち混じりの神崎の声が聞こえた。
“ああ!? 海だァ!? 行くに決まってんだろボケが!!”
「……………;」
“…ね? 今、神崎君の家でジャンプ回し読みしてたところ。あ、今、神崎君、鼻歌歌いながら水着選んでるよ”
思ったよりも簡単にOKがもらえ、因幡は拍子抜けした。
夏目と一言二言かわして電話を切ったあと、携帯のアドレス帳を開き、もうひとりのアドレスを見つめる。
(あいつはなー…。夏目みたいな友達もいないだろうし…)
仕方ないので直接本人に電話をかけてみる。
すぐに出てくれた。
神崎と同じ反応かと思って事情を話すが、こちらは渋った。
“あ? 海? 行かねーに決まってんだろボケが”
「そう言うなよ、姫川…。せっかくの夏休みだぞ」
電話越しの姫川は自宅なのか、電話越しの雑音はなかった。
“今オレは忙しいんだ。海なんて泳ぐところ、リーゼントが崩れたらどうしてくれんだ。行くならひとりで行ってこい!”
一方的に電話を切られた。
因幡は携帯を握りしめ、真っ暗な画面とにらめっこする。
「てめーがこねーと意味ねーんだよ…っ」
メールボックスを開き、姫川宛てにデータを添付し、あえて本文なしで送信する。
送信したものは、神崎との誤解を招くような写メばかりだ。
どれも母曰く力作だ。
特に、至近距離で睨み合う2人の時の写真。
角度を変えて撮影すると、キスしているように見える。
1分もしないうちに着信がきた。
相手は言わずともがな姫川からだ。
すぐに通話ボタンを押して耳に当てる。
「もしもーし?」
“…どこだ?”
「ん?」
“目的の海水浴場はどこだって聞いてんだよ”
思った通り、流出されることを恐れて電話をかけてきたようだ。
因幡はガッツポーズをとった。
その顔には悪魔の笑みが貼りついている。
「あっれー? 姫川さん、忙しいんじゃ…?」
思わず調子に乗ってしまう。
“ジャンプ読んでただけだ!!”
「…おまえもかよ」
東邦神姫の問題はどうした、と聞きたかったがやめておいた。
意外とヒマに過ごしていたようだ。
気を遣っていたのがアホらしくなった。
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