11:蹴り、つけました。
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豊川が倒れるとともに、鉄パイプは豊川の手から離れ、屋上の出入口付近まで転がった。
「…ムチャするよな、おまえも…。その根性は買うけどよ」
神崎は仰向けに倒れる姫川を見下ろし、笑った。
同じく、姫川もくつくつと笑いを立てる。
「くく…っ、てめーも…、よくオレの行動が読めたな?」
「狡いてめーのことだ。なんかあるとか思うだろ。…特別に、タダでお手を貸しましょーか?」
神崎はしゃがみ、手を差し出した。
姫川はその手を払おうとしたが、手を動かすこともままならなず、諦めたようにため息をつく。
「自力で起きれる…って言いてえとこだが…。タダで使ってやるよ…」
「ぬかせ」
神崎は姫川の右手をとって立ち上がらせようとしたが、姫川の上半身を起こしたところで「ちょっと待て」と一度手を離し、うつ伏せに倒れている豊川に近づき、見下ろした。
「まだ寝んな」
そう言って豊川の腹を持ち上げ、仰向けにさせた。
豊川は鼻血を流し、呻いている。
「うぐ…」
「さっきからズルズルと出口に向かってんの、まるわかりだ」
神崎の言葉に、豊川は右手で鼻を押さえ、神崎を睨む。
「てめーら…、馬鹿じゃねーのか!? 黒狐に手を出しやがって…。オレはただこの火傷の借りを返しに来ただけだ!! あの女は背中、オレは顔面! 割りに合わねーだろが!! 倍に返してなにが悪い!!? てめーらの周りの奴らも全員、半殺しにしてやる…!! 黒狐は止まらねえよ…。一生な!!」
豊川はそう言って壊れたように笑い始めた。
すると、神崎は豊川の胸倉をつかみ、引き摺りながら柵の方へと向かっていく。
「な、なんだ!?」
「おい、神崎」
騒ぎだす豊川に構わず、姫川の前を通過しながら神崎は前を見据えて言う。
「姫川、こいつダメだ。まだ故障したまんまだ」
「おい! 放せ!! どこに連れていくつもりだ!?」
神崎は柵まで近づくと、豊川の体半分を柵越しに押し出した。
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