11:蹴り、つけました。
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一方、豊川は姫川の背後から姫川の首に自分の左腕をかけ、鉄パイプの尖端を姫川のアゴに突きつけて神崎と睨み合っていた。
姫川はそれを振りほどこうとするが、力が入らない。
「てめ…、武器の尖端に…、なにか塗ってるな…?」
豊川は嘲笑を含めて姫川に答える。
「ああ。痺れ薬をな。…毒よかマシだろ?」
鉄パイプを振り下ろしたとき、豊川は姫川の左頬を傷つけた。
すると、あっという間に薬は姫川の体を巡り、今の状態に陥っている。
「動くなよ」
人質をとってしまえばこちらのものだ、と豊川はほくそ笑み、指示を出す。
「こいつを刺されたくなきゃ、神崎、てめーはそこから飛び降りろ」
豊川の目先は柵の向こうだ。
神崎が飛び下りてしまえば、下にいる石矢魔の不良達がパニックを起こし、その騒動に混じって逃げてしまえばいいと考えたからだ。
「…は…っ、てめーとは気が合いそうだ」
姫川は苦笑する。
「さあどうする? こいつを見殺しにするか、てめーが飛び下りるかの2択だ」
神崎はようやく口を開いた。
「ダッセェ。ダサすぎるぞ、姫川」
「あ?」
姫川の額に青筋が浮き上がる。
「敵にそんな簡単に捕まっちまってよぉ。オレが情けなくなるぜ。ダサいのはリーゼントだけかと思ったけど…」
神崎は露骨に落胆のため息をつき、首を横に振ってバカにするような仕草をした。
姫川の青筋が増える。
「ほら言ってみろよ、「石矢魔最強の神崎さん、ボクちゃんのこと助けてくださぁい」ってな」
「誰が言うかボケェ!! てめ、人ナメんのも大概にしろよ!!」
「ちゃんと神に祈るようにな。こうだ」
両手を組んで神に祈るポーズをとる。
姫川はギリギリと歯を食いしばった。
「こいつの前に真っ先にてめぇをブッ殺してやる!! てめーが飛び下りなくてもオレが落とす!! 地獄にな!!」
「だったら自力でそこから抜け出してこいや!! ヌメッとしてんだから簡単だろが!!」
「オレはナメクジかっ!!」
幼稚に喚きだした2人に、豊川は激昂する。
「…ふざけてんじゃねぇよてめーらぁ!! やる気が出るように、試しにこいつの喉から潰してやろうか!? ああ!?」
喉元に尖端が押し付けられ、一筋の血が流れる。
姫川は右手がどれくらい動くか確認した。
わずかに指先だけが動く。
「…姫川、マジで助けてほしいか?」
「はっ、マジでいらねーよ」
余裕の顔の2人に、豊川は鉄パイプを強く握りしめた。
「ああ、そうかよ!!」
豊川が鉄パイプを振り上げる。
それと同時に神崎はこちらに駆けだし、姫川は覚悟を決め、親指を押し上げてスタンバトンのスイッチを入れた。
バチィ!!
「ぐああ!!」
「ぐっ!!」
姫川と豊川の全身に電流が流れた。
一瞬だけ豊川の動きが止まり、神崎はその隙を突いて姫川を自分に引き寄せ、
ゴッ!!
豊川の顔面を蹴り飛ばした。
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