11:蹴り、つけました。
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「…!」
伏見はその瞳を見て、病室での豊川の言葉を思い出す。
『あの時…、因幡の目が赤く染まったんだ…! そしたら…、その場にいた全員…!!』
あの時の豊川は、顔の火傷を押さえて呻きながら恐怖で体を震わせていた。
(あれが…、豊川が言ってた…瞳…)
なにが起こるかはわからない。
その目を見るだけで、全身が警告するように粟立った。
伏見は警戒し、一歩後ろに下がって因幡の出方を窺う。
「……!?」
瞬きした瞬間、目の前から因幡の姿が消えた。
(消え…!?)
ガッ!
すると、因幡はすぐ目の前の宙に現れ、伏見のアゴに因幡の膝蹴りが炸裂した。
「く…っ」
重い一撃だった。
因幡の攻撃はまだ続く。
床に着地する間もなくそのまま伏見の背中に回り込んで勢いのついた回し蹴りを打ちこみ、伏見の体が前に傾くと、素早く横から再び強烈な膝蹴りが腹に打ち込まれた。
「ぐはっ!」
(なんだ!? なぜ…こんなに…一撃一撃が…重い!?)
まるで岩石をぶつけられているようだ。
そんなことを考えている間にも、すでに5発は体に打ち込まれている。
因幡の脚の動きは速すぎて目が追いつかない。
その衝撃波に耐えられず、教室中の窓ガラスが次々と割れた。
「ぐ…」
意識が遠のきかけ、伏見は因幡の顔面目掛けコブシを振るった。
だが、それは因幡の右足裏に受け止められてしまう。
「!?」
振るった右手に痛みを覚え、見ると、サックにはヒビが入り、あっという間に粉々に砕けた。
「な…に!!?」
それだけでなく、サックをつけていた両手の第2関節には火傷を負っていた。
伏見が驚いて動きを止め、因幡はすかさずその場にしゃがんで左脚を振って伏見の足を払い、その巨体は仰向けに倒れようとする。
「!!!」
「オレを負かした奴の必殺技を見せてやるよ」
伏見が床に背中をぶつける前に因幡は左脚を振り上げ、
「直伝、“神崎のかかと落とし”!!!」
一気に伏見の額にかかとを落とす。
ゴッ!!!
校舎が震えるほどの衝撃が起こり、伏見の頭が床にめり込んだ。
1階下の教室から見ると天井に頭が突き出しているように見えるだろう。
静寂を取り戻す教室。
ピクリとも動かなくなった伏見を見下ろす因幡の瞳が元の色を取り戻す。
「…勝…った……」
因幡は一息つき、教室を出て廊下の壁を伝いながら階段へと向かった。
「行かない…と…。2人が…待っ…て……」
その時、目の前の光景が歪み、吐き気を覚えた。
「…っ!?」
足もガクガクと震え始め、両膝をつく。
途端に、全身を針で刺すような痛みに襲われ、傷口から血が噴き出した。
「…え?」
なにが起こったのか。
理解もできずに、因幡は階段を目前に倒れた。
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