10:蹴り、つけてきます。
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「ダメです! こっちも開きません!!」
「窓もです!!」
念のためにと確保しておいたはずの逃げ道は閉ざされていた。
非常口、窓、裏へと抜ける隠し穴、すべてだ。
2階も同じ状態となっていた。
非常口は外から物が積まれて塞がれ、窓は鍵が溶接され、隠し穴もすべて木材で打ちつけられている。
「見張りはどうした!?」
「全員、やられています!」
数人ばかり立たせていた見張りも廊下に転がされていた。
「そんな…」
豊川は言葉を失う。
人質の対策といい、なにもかも見透かされているようだ。
「なぜバレてる…!? それにいつの間に…!」
「てめーが因幡に夢中になってる間にだ」
聞き覚えのある声に、はっと振り返ると、2階の教室から神崎と姫川、そして姫川の部下達が出てきた。
ずっとそこで待ち構えていた様子だ。
姫川の手にはスタンバトンが、神崎の手には金属バットが握られている。
「てめーら…!!」
「てめーらの動きは筒抜けなんだよ」
部下のうち、5人が姫川達を通過して一斉に豊川に躍りかかった。
だが、それを伏見の両腕のラリアットが防ぎ、一撃で向かってきた5人を窓から吹っ飛ばした。
「伏見!」
「豊川…、逃げろ…。不利だ…。ここは…、オレが…、食い止める…」
「い…、一撃…」
あり得ない光景と、天井までギリギリの身長である迫力満点の伏見に、部下達は恐怖心を煽られ、すっかり浮足立っている。
「全員でかかれ!」
姫川が指示を出し、残りの部下達が果敢にも一斉に、若干ヤケクソに襲いかかる。
しかし、結果は先程の通り、数秒で全員が窓から叩き落とされる。
その隙に、豊川は2人のメンバーとともに階段を駆けあがって行った。
「待て!」
姫川が叫び、2人は追いかけようとしたが伏見が立ち塞がった。
「行かせ…ない」
「どきやがれデカブツ!!」
神崎は金属バットで伏見に殴りかかったが、右腕だけでガードされてしまう。
腕を払われ、神崎はすぐに後ろに飛んで距離を置いたが、痺れる右手と「く」の字に曲がった金属バットを見て、姫川とともに顔が青ざめた。
「こいつ、未来から来たサイボーグじゃねーのか!?;」
「! 神崎!」
神崎に突進する伏見に、姫川は神崎を突き飛ばした。
「ぬん!!」
ゴッ!!
伏見のメリケンサックつきのコブシが姫川の腹にめり込み、横に吹っ飛んだ姫川の体は教室の扉を突き破って床に転がった。
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