10:蹴り、つけてきます。
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「バカな…、どうやってこんな数…」
「てめーが使った手口と同じだ。昨日と今日の間に、おまえと似たような手紙を送りつけてやったんだよ。…かなりアホな挑発文だけど、あいつらの血管ブチ切らせるには最高な内容だ」
アホ、バカ、うんこたれなど汚い言葉はもちろん、石矢魔をけなすことも。
石矢魔高校の不良達の沸点は極めて低い。
こちらに向かってくる不良達の中には、2年の真田兄弟、キラーマシーン阿倍、グッドナイト下川の姿もあった。
指定した時刻通り、全員が来た。
ちょうど、日も沈む。
「今すぐ奴らを止めろ…!」
「ムリだ。オレが直接指示出したわけじゃねーしな」
「…そうか」
豊川は携帯を操作し、メンバーにメールを送信した。
「…なにした?」
「ここにいるのは88人。…あとの奴らはなにしてると思う?」
「…!!」
はっと目を見開く因幡に、豊川はくつくつと笑った。
「人質とりに行ったんだよ。てめーの姉と弟をな」
受信したメールを見た、他の黒狐のメンバーは大学から電車で帰ってくる桜を駅で待ち構え、帰宅途中の春樹を背後から襲おうと決行するところだった。
「そ…、そんな…」
「さあ、今から来る石矢魔を、てめーの手で全力で止めてみせろ。そうじゃないと…」
「はははっ、スゲーな…」
「!?」
動揺する素振りを見せていた因幡が、笑った。
「豊川…、おまえ、うちんとこの銀ぎつねに全部読まれてるぞ」
「な…っ、なんだと!!?」
*****
その頃、駅ではある人物によって黒狐達は全員のされていた。
「おいおい、因幡が強い奴がいるって言うから来たものの…、全然ダメじゃねーか。なぁ、ベル坊?」
「ダブダ」
「お姉さん、大丈夫ですか? あ、ボク、古市貴之といいます。なんてお美しい…!」
襲われかけた桜を助けたのは、昨夜因幡に頼み込まれた男鹿達だった。
古市は早速美人の桜の手を握ってナンパしていた。
桜はきょとんとした顔をしている。
「もしかして、妹…じゃなくて、弟に頼まれて?」
神崎達以外の同級生には男として振るまっているので、桜は気を遣いながら尋ねる。
「ええ。突然家に押しかけてきたと思ったら、「美人の姉を紹介するから、男鹿を協力させるにはどうしたらいいのか」とせがまれて…」
古市は「写真も拝見しました。写真よりもお美しい!」といい顔で言った。
(あのコったら…)
そんな話をまったく聞いていなかった桜は呆れてしまう。
*****
一方、春樹の方は、夏目と城山が片をつけていた。
黒狐を全員倒した夏目と城山を見る春樹の目が輝いている。
「す…、スゲー! どうしたらそんなに強くなれるんスか!!?」
憧れの眼差しをかわすために夏目はサラリと答える。
「神崎君の舎弟だからね」
城山はまったく否定せず、腕を組んで何度も頷いた。
「神崎さん!? あの人そんなに強いんスか!!?」
春樹の中の憧れ対象が神崎に切り替わる。
*****
すべては、姫川の作戦だった。
黒狐のアジトを見つけ、石矢魔の不良達に手紙を送りつけたのも、姫川の手を借りなければ成せないことだ。
豊川の人質作戦を読んだのも姫川だ。
本人曰く、「考え方が少しだけ似ている」らしい。
「まあ、姫川の方が一枚上手だったみたいだな」
「チィ…ッ! おまえら、足どめしておけ! できなかったら殺す!!」
豊川が鉄パイプの先端を叩きつけると同時に、黒狐が動き出す。
その隙に、豊川は伏見と他2人のメンバーを連れて校舎の中へと逃げ込んだ。
「待ちやがれ!!」
因幡は立ち向かってくる黒狐のメンバーを蹴り飛ばしながら先へ先へと進んでいく。
「ぐ…っ!」
昨日の傷がまだ痛む。
蹴る度にその衝撃が体に伝わった。
ゴッ!
背中を角材で叩かれたが、倒れるものかと踏ん張り、勢いをつけて攻撃した相手の顔面に回し蹴りを決める。
「逃がすかよ…!!」
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