08:黒い狐にご注意ください。
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「…遅ェ…。ヨーグルッチはまだか」
「まあまあ」
因幡の部屋でゲームをしていた神崎と夏目。
しかし、買い出しに行ってから因幡と城山が一向に帰ってこず、イライラと胡坐をかいた足先を上下に動かしている。
「でも…、ホントに遅いよね…。事故にでもあったのかな?」
「はっ、城山ならトラックにぶつかっても大丈夫だろうし、因幡ならピョイと飛んで避けるだろ」
「……ありえそう;」
想像してしまい、納得する。
「夏目、次のモンスター倒しにいこうぜー」
そう言ったとき、部屋の扉が開かれた。
「か…、神崎さん…」
「おう、遅かったじゃ…うおお!!? どうした城山!!?」
部屋に足を踏み入れた城山のその顔は血まみれだった。
「ヨーグルッチ…買ってきました…」
目的地に到着した城山はその場に両膝をつき、意識朦朧とした様子でビニール袋を差し出す。
「ヨーグルッチてめーの血でまみれてんじゃねーか!!;」
「っていうかなにがあったの!? 誰にやられたの!? 因幡君は!?」
「実は…」
城山は近くにあったティッシュ箱からティッシュを何枚か取って顔面を拭き、経緯を話す。
「おまえ…、邪魔…」と言われたあと、伏見がコブシを振り上げた。
動きが鈍かったので、振り下ろされる前に城山はその顔面を殴りつける。
「!?」
綺麗なストレートパンチが決まったにも関わらず、伏見は倒れるどころかまったく動かなかった。
平然とした顔のまま、コブシを振り下ろす。
ゴッ!
「ぐ!!」
衝撃が走ったが、それは伏見の一撃ではなかった。
「…っ…!?」
因幡が城山を横から蹴り飛ばしたのだ。
城山はそのままブロック塀に頭からぶつかってしまう。
伏見の一撃は、代わりの位置に移動してしまった因幡の背中に振り下ろされた。
「が…っ」
叩きつられ、地面にヒビが入る。
「あれ…、間違えた…」
その伏見のコブシには、鈍い色を放つメリケンサックが装着されていた。
「まずい…。豊川…の分…残さ…ないと…」
「因幡…!」
因幡はあの重い一撃で気を失い、ピクリとも動かなかった。
伏見は「仕方ない…」と呟き、因幡を肩に担ぎ、そのまま他のメンバーとともに連れて行ってしまった。
話を聞き終えた神崎は「連れて行かれただと!? どこに!?」と身を乗り出す。
「すみません…。わからないままで…」
「…因幡君、城ちゃんのこと庇ったんだね…。もしかして…、その黒狐ってのが原因で、因幡君の様子がおかしかったのかな」
「クソ…! おい、行くぞ!」
神崎は立ち上がり、部屋を出る。
「行くぞって場所わかってるの!?」
階段の上から夏目が声をかけ、玄関まで走る神崎は肩越しに言う。
「手分けして捜すに決まってんだろ!」
「神崎さん、オレも行きます!」
城山も夏目に続き、階段を駆け降りる。
「城ちゃん、ケガはもういいの!?」
「あいつのおかげで軽傷だ」
頭の血はもう止まっている。
病院送りにならなかっただけマシだ。
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