95:物語は、終わりません。
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石矢魔のとある空地では、石矢魔と他校同士の喧嘩が勃発していた。
だが、それもものの数秒で片が付く。
相手は5人だったが、ひとりで全部倒してしまったのだ。
不良達の中心に立つ石矢魔の不良は、茶髪のオールバックに、耳と口のピアスを繋ぐチェーンが光っていた。
「石矢魔ナメてっと、ブチ転がすぞボケ共が」
「ひ、ひいい!!」
「強ぇ!!」
「すみませんでしたぁぁっっ」
睨みを利かせ、相手を追い払う。
そのあと、後ろで見ていた数人の石矢魔の不良達が駆け寄ってきた。
「因幡さんお疲れ様っス!!」
「スゲェ!! さすが『冷酷兎』因幡春樹!!」
「おまえらも勝ち目のなさそうな相手に喧嘩売ろうとすんのやめろ。売りてぇなら、てめぇを磨きな。今日だけは石矢魔の恥さらしになるんじゃねえ」
持ってもらっていたカバンを手にし、叱咤してから歩き出す。
そんな春樹の背中に、後輩たちは熱視線を浴びせた。
「渋いぜ」
「伊達に、かつての『東邦神姫』神崎一の舎弟名乗ってねーなっ」
「しかも、お姉さんがあの『1代目・冷酷兎』だしな…」
「次の石矢魔の番はあの人かもな。オレはどこまでもついてくぜっ」
背中で聞きながら、春樹はわずかに不満げな表情を見せる。
(まだまだだ。神崎さんにも桃姉にも届いてねぇ…。もっと、強くならねえと…! 石矢魔の頂点は高ぇんだ)
「そう言われるとオレも鼻が高いぜ」
「「「「!!?」」」」
ひょっこりと現れたのは、因幡だ。
不良達は仰天して仰け反り、因幡はそのまま春樹の背中に蹴りをお見舞いする。
「はーるきっ」
「ぐえ」
膝からこける春樹だったが、すぐに振り返って「桃姉!?」と目を見開いて驚いた。
「ちょっと見ねえうちに変わったな。その髪型と口ピは誰のマネだよ」
「~っ」
あまり見られたくない姿だったのか、反射的に、右手で髪に、左手でチェーンに触れた。
「桃姉よぉー。こっちから連絡しようとしても繋がらねえし、今日来ねえのかと思った…」
「それは悪かったよ。こっちは移動してばっかだからな。山ん中歩いたりしてたし、この前は樹海で迷子になりかけたし。アハハ」
「アハハじゃないって!」
能天気に言ってのける因幡につっこむ。
その後ろでは不良達がざわついていた。
「因幡桃さん!?」
「モノホンだー!」
「まぶいっ!!」
まるで人気アイドルにでも出くわしたかのようなリアクションだ。
「春樹、おまえ進級できるんだろうな?」
「当たり前だって。ずーっと、神崎さんの座ってた席が欲しくて待ち望んでたってのに!」
今年で3年になるので、3年クラスにある神崎が腰かけていた席を1年の頃から狙っていたのだ。
「あ、そうそう。神崎達も来るってよ」
「マジで!!?」
春樹の表情が一層明るくなった。
「春樹もビシッと男鹿達を見送ってやれ」
ぽん、と春樹の肩を軽く叩いてから、因幡は近くにあったポストを踏み台にして外灯から屋根へと飛び移った。
「オレは先に会ってくるからなぁーっ」
「あー!! ずるい桃姉!! オレも神崎さんと会いたい!!」
「因幡さーん!! 握手してくださーい!!」
「オレもサイン!!」
「むしろ蹴ってください!!」
他の後輩たちも因幡のあとを追いかけようとしたが、誰も因幡の速さにはついてこれなかった。
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