08:黒い狐にご注意ください。
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夏休みの朝、小棚に置かれた時計を見ると10時をまわっていた。
寝惚けた顔で壁にかけたカレンダーを見る。
あのファミレスから5日が経過した。
今のところ、喧嘩もふっかけられなければ、事件らしい事件も起きない。
「ふぁ…」
大きな欠伸をし、ベッドから下りる。
「……くーん…」
「ん?」
外から声が聞こえる。
「因幡」
「くーん」
「あー」
「そー」
「ぼー」
嫌な予感がしてベランダから下を窺うと、神崎組がそこにいた。
神崎、夏目、城山の順番に声がかけられる。
「あー」
「そー」
「ぼー」
「因幡」
「くーん」
「あー」
因幡はすぅっと大きく息を吸う。
「朝から近所迷惑だ!! 小学生かっ!!」
おかげですっかり目も醒めた。
まさか、家に遊びに来るとは思わなかった。
しかも地味な嫌がらせだ。
仕方なく家にあげた因幡は3人を部屋に招きいれる。
「神崎、だからおまえまだ入院中だろうが」
「ちゃんと退院してきたわボケ。こうして長い坂道上がって遊びにきてやったんだ。文句言うな」
「腕のギブス取れてねーじゃん」
因幡は神崎のギブスに指をさして指摘する。
包帯に巻かれ、首から吊るしたままだ。
神崎はムキになって右腕を振り上げる。
「全然平気だっての! 心配性め」
「べ…、別に心配なんかするかバーカ!」
因幡もムキになって言い返す。
「あはっ、どっちもツンデレだねー」
「「ツンデレじゃねー!!」」
2人はハモり、夏目に怒鳴る。
(どうしよう…。こいつら、もう帰した方がいいかもしれない。まだ、あっちの動きも読めねぇし…)
神崎達から目を逸らしてそう考えたとき、目の前にP●Pが突きつけられた。
「!」
「因幡君、以前からゲームやったことないって言ってたじゃん」
因幡家には古いゲーム機さえない。
ずっと気になっていたものを目の前にした因幡は、ごくり、と唾を飲んだ。
その目は眩しく輝いている。
受け取り、スイッチをオンにしてゲーム開始。
神崎もオンラインで始めている。
城山はゲームが不得意なのでその後ろから画面を見ている。
夏目に操作方法を教わりながらゲームをプレイしていく。
「うわ、コレがモンパン!!?」
剣でモンスターを次々となぎ倒していく。
「スゲー!! なんだこいつら喧嘩売ってんのか!?」
「初心者にしては上手いね、因幡君」
「おおおっ! モンスター倒したああああ!!」
「そこでボタンを押して…」
「わあああ! フンってなんだああああ!?」
「うるせぇよ!! 興奮しすぎなんだよてめーは!! それはあとで合成に使うからボックスに入れとけ!!」
「ボックス!? そして合成!!?」
((楽しそうだ…))
夏目と城山はまるで子どもを見るように微笑ましげだった。
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