94:サヨナラではありません。
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その日は訪れた。
窓を開ければ、晴れやかな空が広がり、風も心地良く流れた。
伸びをしてから、ベッドから降り、スマホで時間を確認する。
6時58分。
早起きだ。
「……よし」
意を決してクローゼットに手を伸ばし、着替えを始めた。
自室を出れば、階段からいい匂いが上がっていた。
ダイニングに入ると、桜が人数分の朝食を作っていた。
「おはよー」
「あ、おはよう桃矢ちゃ…」
キッチンでフライパンで卵焼きを巻いていた桜は、因幡を一目見るなり仰天し、思わずフライパンを宙に放ってしまった。
因幡は反射的に床を蹴り、フライパンをキャッチし、同じく宙を掻いた卵焼きをフライパンで受け止める。
「い、いきなりびっくりすんだろっ;」
「びっくりしたのはこっちよ;」
いつもとは違う朝が始まる。
朝食を食べ終え、歯を磨き終えて支度ができれば登校だ。
「いってきます」
そう言ってカバンを片手に、因幡は珍しく歩いて学校へと向かっていた。
新しい靴は、誕生日に神崎達からもらった、空色のスニーカーだ。
右靴の靴紐だけ少し汚れている。
「…!」
近くの家の屋根で白い何かが跳ねたのが目の端に映り、そちらに振り返ってみる。
だが、何もない。
「…気のせいか…―――」
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