07:傷より痛いものって?
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はっと気がつくと、そこはファミレスの個室トイレだった。
目の前には鏡に映った自分の姿がある。
(白昼夢…?)
「うぇ…っ」
吐き気を覚えたが、耐える。
食べ過ぎによる吐き気なのかはわからない。
「あいつらもよく食べる…」
今、シメのパフェやケーキを食べているはずだ。
「!」
扉が2回ノックされ、トイレ待ちの客か、とそちらに顔を向ける。
「ああ、すぐ出ます…」
手を洗ってから出ようとしたとき、
「ここ、男子トイレだよ、桃ちゃん」
「!!」
鍵を開けようとした手が止まる。
その声は、忘れもしない。
「あんな目に遭ったのに…、性懲りもなくまた仲間をつくっちゃって…」
「……っ!!」
すぐに扉から離れた。
「いや、懲りたってわけでもないか…。今、慣れない幸せが気持ち悪いんでしょ? ずっと孤独にどっぷりと浸かってたから…」
一歩たじろいだ因幡は、どん、と壁に背中をぶつけた。
「見てたのか…? ずっと…」
その声はわずかに震えていた。
「いやぁ、久々に顔が見たくなってこっそり窺ったらさ、お友達と楽しくやってるのがムカついてさぁ。ボクが誘ったら、ブチ切れて断ったクセに…」
「……あいつらは仲間でも友達でもねぇ…」
「そっ。じゃあ…、好きにしていいわけだ?」
「オレとはまったく関係ないから手ェ出すなっつってんだ!!」
「……………」
一時、間が空き、稲荷が言う。
「豊川も復讐したがってるよ」
「……………」
「徹底的に叩き潰されたからね。けっこう時間かかっちゃったけど…、黒狐はもう復活してるよ」
「!!」
「またあのゲームが楽しみだね…」
バンッ!!
勢いをつけて扉を蹴破ったが、そこに稲荷の姿はなかった。
急いでフロアに出て捜すが、客が多いうえに、それらしい姿は見当たらない。
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