87:いつか見た夢の中で。
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「「あ?」」
『バッドパーツ』との戦いに勝利し、出現したドアを潜った先の廊下を歩き続けていると、神崎と姫川はタイミング良くばったりと再会した。
振り返ると、自分達の後ろには他にも5つの廊下が見当たった。
バラバラかと思われたが、最後に一本の道に繋がるようになっていたようだ。
ほぼ同時にその一本道に現れた神崎と姫川は、同時に舌を打つ。
((同時かよ))
「ボロボロじゃねーか。ここで休んだっていいんだぜ?」
「抜かせ。てめーの方がオレよりヤベェんじゃねーの? フランスパンが失敗作になってんぞ。焼き直して来いよ」
互いの満身創痍ぶりを見て、いつものように悪態をつきあいながら、2人は肩を並べて廊下を突き進んだ。
「……神崎」
「あ?」
「おまえがオレに言いたかったことって何?」
ダッチとライラックのケータイを通して口走ってしまったことだ。
思い出した神崎は、姫川の太腿を蹴った。
「痛て!」
「今言うわけねーだろ。……おい?」
軽めに蹴ったというのに、姫川はバランスを失い床に膝をついた。
神崎の額に嫌な汗が浮かぶ。
「姫川…?」
「わかってる」
姫川は立ち上がり、服に付いた汚れを払った。
「因幡を助けてからだ。…そうだろ?」
「……おう」
進み始める姫川に神崎は短く返事を返し、姫川についていく。
胸にこみ上げた不安を抑えながら。
「お」
「あら」
真っ直ぐに進んでいくと、大きな扉の前で東条と邦枝が待っていた。
「早ぇな」
なんとなく予想していた姫川が言うと、邦枝は肩を竦ませて答える。
「私達もさっき来たところよ。…予想以上にボロボロね」
「おまえらもな。どんなバケモンと戦ったんだ?」
東条と邦枝の実力も人間離れしているが、そんな2人にここまでの傷を負わせたのはどんな相手だったのか。
東条はなんでもないように両腕を振る。
「軽い傷ばっかだ」
「言うじゃねえか」
神崎は苦笑いした。
「それで、男鹿は?」
「まだよ」
姫川の質問に答える邦枝。
「たぶんこの奥が玉座なんだけど…、私達は待ちましょう。全員で因幡を迎えに行くの」
「邪魔する奴らが出てきたら、またブッ飛ばせばいいだけだ」
だからあえて扉には触れもしない。
神崎はその場に腰を下ろして胡坐をかき、姫川も壁に背をもたせかけた。
「すぐに来るだろ」と神崎。
「男鹿だもんな」と姫川。
その時、
ズンッ!!!
「「「「!?」」」」
城が揺れたかと思えば、目の前の廊下の床に大きな穴が空き、電撃が飛び出した。
辺りは閃光に包まれ、おさまった時には「よいしょ」と床の穴から、ベル坊と傷だらけの男鹿がひょっこりと出て来た。
「よう」
「ダブ」
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