86:水面の心。激昂の一撃。
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見た目は綺麗だが、触れると凍傷を負うシャボン玉―――“フロストバブル”が神崎目掛けて襲いかかる。
神崎は部屋を走り回り、目で追いながらそれをかわしていく。
ダッチの意思で動くため、避けても避けても追ってきた。
「クソ!」
舌を打つ神崎は、楽しげに笑みを浮かべ、ポケットに両手を突っ込んで突っ立っているダッチを睨みつける。
シャボン玉が近づけば、食堂フロアにある椅子で防いだ。
だが、防いだ椅子はシャボン玉で弾かれボロボロに砕け、すぐに使い物にならなくなる。
先程から防戦一方だ。
こちらから直接仕掛けたくても、シャボン玉が行く手を阻む。
「食らえコラァ!!」
ダッチ目掛け椅子の脚をつかんで投げつけるが、ダッチは、それがどうしたと言うように体をわずかに傾けてかわした。
ボシュ!!
「っぐ!?」
一瞬でも気を取られたせいで、迫っていた2つのシャボン玉が神崎の背中に直撃し、弾けて凍傷を負わせた。
傷口からは白い煙が上がっている。
「う゛ぅ…っ!!」
歯を食いしばって耐えようとするが、背後からは他のシャボン玉がどんどん迫っている。
獲物が弱っていく様を楽しむように、ダッチは鼻で笑った。
「しっかり逃げろー。全身凍傷したくねーだろー」
まるで他人事だ。
「ヤロウ…ッ!! ぜってー殺す!!」
怒りの矛先はダッチに向けられたままだというのに、足をそちらに向けてもシャボン玉が割り込んで邪魔をする。
神崎は最後の椅子をつかんだ。
一振りでシャボン玉をすべて弾き、残った椅子の脚をもう一度投げ槍のように投げつける。
当たる寸前、ダッチは体を後ろに反らし、その柔軟さを見せつけた。
目標を失った椅子の脚は壁に突き刺さる。
「ムダだっつってんだろうが、××が!!」
「…っ!!」
シャボン玉に囲まれそうになる。
(何か…、何か他に防ぐものがあれば…!!)
シャボン玉は触れただけで割れる。
何かぶつけるものはないかと探していると、目についたのがテーブルだ。
シャボン玉の群れが再び一斉に襲いかかってくる。
神崎はテーブルを乗り越え、テーブルを蹴り飛ばした。
(これで防いで、あいつに突っ込めば…!!)
わずかに生まれた隙で一撃を叩きこめば、と考えたが、甘かった。
「まあ、最後に防げるものってそれしかねーわなぁ」
「!!?」
防壁に使用しようとしたテーブルの下には、テーブルいっぱいに大量のシャボン玉が隠されてあった。
ダッチは人差し指を突き立てる。
「バカな脳味噌×××ヤロウでよかった。疲れるんだぜ? 能力を使うのも」
壁に追い詰められた、顔に汗を滲ませる神崎。
「天国まで行ってみよ―――♪」
ダッチが人差し指を振り下ろすと同時に、大量のシャボン玉が飛びかかってきた。
(避け…、いや…―――、ムリだ)
大量のシャボン玉の破裂音が、フロアに響き渡る。
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