80:たとえ壊れてしまっても。
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玉座の階段からジジがゆっくりと下りてくる。
真っ赤な瞳が因幡を見つめた。
じりじりと様子を窺いながら因幡はジジへと歩を進める。
「やれやれだ。我の言う事がきかんとは…。シロト、貴様…どうなるかわかっていて我を裏切るのか?」
“…『あの日』、ワシとクロトを救ってくれた御恩は忘れておらん…。けれど…―――”
「仕置きだな」
薄笑みを浮かべたジジが右手をかざす。
反射的に因幡は左脚を突き出した。
「!!」
ジジの腕から大量の氷の茨が生えて因幡に襲いかかる。
左足の“フリージング・ポイズン”で砕こうとするが、砕き切る前に勢いに押されて壁に叩きつけられた。
その拍子に口の中を切ってしまう。
「っっ…!」
「フ…」
氷の茨が絡み合って槍の形を成し、床へ落下していく因幡の胸の中心を狙う。
歯を食いしばって顔を上げた因幡は、空中で体勢を変えて左脚で蹴り弾き、すぐ傍の壁を蹴って床に着地した。
だが、真上にある槍が解け、氷の茨の一本一本が雨のように降ってきた。
鋭く尖ったそれは床をも貫く。
「なんでもありかよ!!」
自由に動く氷の茨に翻弄されながらも、走りながらそれらをかわし、ジジに突進していく。
「そうだ…、もっと…、もっと我にその魔力を魅せろ!!」
空いている左手をかざし、今度はバラバラな動きを見せる生き物の触手のような氷の茨を出現させた。
「!!」
因幡は怯む様子を見せず、床を右足で蹴る。
すると、蹴り砕かれた床の破片は氷が纏ってジジの氷の茨にぶつかり、弾かれた。
“アイシング・ドロップ-ラビットフリック”!!
「甘いわ!!」
右手から放った氷の茨が屈折して因幡の背後を狙う。
しかし因幡は避ける素振りを見せない。
ほくそ笑むと同時に、因幡の背後に氷に壁が出現した。
「!?」
“ラビットマーク”
因幡が踏みつけた場所から発動する能力だ。
氷の壁が茨を防ぐ。
「使いこなしてる…!」
因幡が優勢に見え、なごりは思わず呟いた。
「これしき…!!」
背中から生える氷の茨が因幡目掛けて迫ってきたが、因幡はジャンプしてその上に飛び乗り、足を止めずジジに迫る。
「!!」
「ああああっ!!」
ジジが驚いた隙を狙い、氷の茨から飛び降りてど真ん中から突っ込み、右脚を振り上げた。
右脚に氷を纏わせ、金棒の形を成す。
「“ラビットスパイクフット”!!」
その一撃は重い。
ゴッ!!!
ジジの腹に必殺技を決め込んだ。
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