79:誰の為のウェディングですか?
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「あ?」と男鹿。
「あれ?」とフユマ。
「あら」と桜。
向かい側からやってきた男鹿とフユマと再会した桜。
桜は大きな両開きの扉の前で立ち尽くしていた。
それから数分もしないうちに、
「「「「あ」」」」
神崎、姫川、ユキ、鮫島もそこに集まった。
「あっさりと全員集まったな」と神崎。
「もう少し迷うもんかと思ったが」とフユマ。
「フユマ様、ご無事で」と鮫島。
再会の喜びは短く、男鹿達は扉に向いた。
この先が魔界にある卯月の本邸に繋がっている。
因幡となごりはこの先だ。
躊躇いなく男鹿はドアの取っ手をつかむが、「待て」とフユマは止めた。
「この扉は招かれた者しか開けられない。手荒く開けようものなら…」
ガチャ…
「は!?」
「開いたぞ」
男鹿と、頭にのっているベル坊はしたり顔だ。
フユマと鮫島はいとも簡単に開いてしまったドアを凝視する。
「あ」
そこでユキは見つけた。
「完全に閉まってなかったみたいだよ」
しゃがんで拾い上げたのは、スマホだ。
これがドアの間に挟まって扉が完全に閉まらなかったようだ。
スマホの持ち主が誰かはそのストラップで判明する。
「これ…!」
桜はストラップを手にのせ、姫川と神崎を見る。
水色のちゅら玉。
夏目が因幡にあげた、お揃いのストラップだ。
神崎と姫川は顔を見合わせる。
「因幡のだぞ…」と神崎。
「あいつが落とした…?」と姫川。
「…おかげで、先に進めるな」
ドアを全開に開けた男鹿は、神崎達とともに本邸へと足を踏み入れた。
「……なごちゃん…」
会いたい、一途なその想いを胸に、ユキは最後尾からついていく。
パァン!!
「「「!?」」」
全員が本邸に入った瞬間、フユマ、鮫島、ユキに埋め込まれた結晶が突然前触れもなく砕けた。
「―――え?」
*****
「―――え?」
眩い光に目の前をチカチカさせながらも、因幡はその光景を凝視し、我が目を疑った。
白の花嫁衣装は、なごりの宣言通り、確かに赤で汚れた。
だが、その赤は、なごり自身の血だ。
「……なご?」
目くらましを食らい、その隙に一撃をもらうかと構えていた。
なのに、なごりは因幡を無視し、その横を通過して玉座を駆けあがったのだ。
そして、カーテン越しにいるジジに躍りかかった。
だが、何かがなごりを躊躇わせた。
その隙を逃さず、ジジは数本の茨でなごりの体を貫いて天井へと掲げた。
ぽつぽつと因幡の真上に雨のように降るなごりの血液。
「……はぁ…。…ごほっ」
右腕、左脚、左わき腹、右胸を貫かれたなごりは、ため息をつき、血を吐き出した。
「……どうりで…、いないはずだ……」
自嘲するように笑った途端、体を貫いた茨ごと床に叩きつけられた。
黒のカーテンが外れ、玉座に腰掛け足を組んでふんぞり返るジジの姿が明らかになる。
「我が王なり。―――跪け。頭が高いぞ、人間」
.To be continued