06:病院ではお静かに。
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あとから聞いた話だが、男鹿と邦枝の件は解決したようだ。
因幡は下校時間まで教室でのんびりと携帯をいじって過ごしていると、邦枝が大森と谷村を連れてやってきたので喧嘩の再開かと思って構えると、いきなり頭を下げられた。
「ありがとう。寧々達を運んでくれたんでしょ?」
「え、あ…」
あれくらいのことで感謝されるとは思わなかったので、しどろもどろになってしまい、決着はうやむやになってしまった。
帰り道、因幡は理由づけとしてフルーツの入った見舞い品を持って病院へと向かう道を歩いていた。
「…オレに用でもある?」
今日のことを思い返している途中で大人数の足音を聞きとり、振り返ると石矢魔の不良達が集まっていた。
数えると1クラス分はいるだろう。
何人か、姫川と神崎の教室で見かけたことがある連中もいる。全員の手には鉄パイプや角材、金属バットと物騒なものが握られていた。
先頭にいた不良が因幡の持っている見舞い品を見るなり、鼻で笑った。
「見舞いか? ご苦労なこった」
すると、行く先にも数人が現れ、囲まれてしまう。
「どけよ。ちゃっちゃと見舞い済ませて帰りてぇんだけど」
「…因幡、おまえだってわかってんだろ。神崎と姫川がやられた今、奴らを支持してるヤロウはほとんど東条側に行っちまった」
「オレには関係ねぇよ」
「いい加減気付けよ。あいつらの下に付きっぱなしは、オレ達にとっちゃ、敵意向けられてんのと一緒なんだよ。…神崎と姫川はあと数日で退院するらしい。そのまえに奇襲をかけて入院生活を引き伸ばす」
「…!」
「オレ達はおまえを買ってんだ。邦枝ともやり合ってピンピンしてるじゃねーか。だから、オレ達の側についてく…ればぁ!!?」
言いきる前に、因幡はドロップキックをお見舞いした。
ざわつく不良達の中、因幡は挑発的な笑みを浮かべる。
「だーかーらぁ? 勝手にあいつらにビクビクしてんのはてめーらだろが。不良のクセに情けねぇ。不良は気合あってなんぼだろ!!」
途端、怒りの形相になって怒鳴る因幡に、誰もがたじろいだ。
その様子に因幡は露骨にため息を吐き、目の前の不良を睨む。
「それにいつオレがあいつらの下についたよ? その間違った情報流した奴今目の前に連れて来い。マジ転がす」
「だ…、だったら、てめーはなんであいつらと一緒にいるんだ!?」
「そーそー、それに困ってんだよ…」
答えが出なくて。
しかし、ここはビシッと言っておくべきだと考える。
「なんつーかなぁ…。あれ? なんて言やいいんだ? …うーん…」
そこである人物の言葉を思い出した。
「あいつの言葉を借りるなら…、「面白いから」だ」
「ふざけ…!」
果敢にも因幡のすぐ目の前にいた不良が因幡に向かってコブシを振り上げる。
因幡は見舞い品からあるものをつかみ、その不良の目前に突き付けた。
「バルス!!」
同時に、手のなかのミカンを握りつぶして汁を飛ばし、その不良の目にモロにかける。
「ぎゃああああ!! 目が!! 目があああああ!!」
哀れにも、ミカン汁を食らった不良は目を押さえて足下でゴロゴロと転がり、悶えた。
「次に滅びの呪文唱えて転がしてほしい奴は、どいつだ?」
その非道に誰もが一瞬浮足立ったが、状況を見て全員が踊りかかった。
「相手は一人だ!!」
「やっちまえ!!」
「来いよ。オレの楽しみ奪うのは、全部、敵ぃ!!!」
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