77:昔の敵は今日のなんでしょう。
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東口では、『バッドフラグメント』のシュンロンと、大森率いる烈怒帝留が交戦中だった。シュンロンが刀を横一線に振るい、大森は鎖で一太刀を防ぐが、勢いに負けて後ろに飛ばされてしまう。
「うっ…!」
「寧々さん!!」
両手にエアガンを持ったまま谷村は大森に駆け寄る。
「く…」
(強い…!!)
最初に倒れた飛鳥と梅宮はかろうじて意識はあり、互いに肩を貸しあい、なおも向かっていこうとする。
シュンロンは煩わしい虫を見るような目つきをし、ため息をついた。
「ワタシは護衛の中でも寛容な方だ。女・子どもをいたぶる趣味も持ち合わせていない。ここを一歩も動く気もない。…「見逃してやる」と言うワタシの気持ちがわからない?」
シュンロンは刀の先端で自分の足下を一線引いた。
先程からそこを動こうともしない。
「見逃す」というのはウソではないのだろうが、大森達も引く気は毛頭なかった。
シュンロンはビルを見上げ、ヘリが突っ込んだ穴を見る。
「侵入者が内部にいるとなれば、ここでじっとしているわけにもいかないのだが? 裏の護衛隊が動くのも癪だからな」
「アンタはあたしらがここで食い止める…! こっちだって、葵姐さんの手を煩わせるわけにもいかないんだ…!!」
ヤバくなったら逃げなさい、と邦枝は言っていたが、単なる陽動で終わらせるつもりはない。
多くでもこちらに引きつけなければ上に集中してしまう。
その分、因幡を救出する時間を失ってしまう。
フラつく体を足だけで支え、鎖を構える大森。
谷村もエアガンの銃口をシュンロンに向け、数発放つ。
「フン」
シュンロンが刀を振れば、発射されたエアガンの弾がすべて真っ二つに切られ地面に落ちた。
「…!!」
「聞き分けのない…」
呆れたように呟き、シュンロンが刀を構えると、その刀身に、ピキピキ…、と氷面が纏う。
一度食らった大森は谷村達に振り返って声を上げた。
「また、『アレ』がくるよ!!」
「『ヘイルズラスト(剥れ飛ぶ錆)』」
同時にシュンロンが刀を勢いよく横に振る。
すると、刀身を覆っていた氷が大きな粒となって剥がれ、無数の雨あられとなって大森達に向かって飛ばされた。
避けるのは困難な数だ。
「きゃ…っ!!」
「っ!!」
体のあちこちにぶつかり、石をぶつけられたかのような痛みが走る。
「っく…」
大森が片膝をつき、当たった者も次々と地面へ倒れた。
シュンロンは冷笑を浮かべ、「ほら見た事か」と小馬鹿にしたように言う。
「さっさと家に帰れ。ワタシ達のジャマはするな」
キン、と鞘に刀をしまい、大森達に背を向けて社内に入ろうとするシュンロン。
だが、途中で立ち止まり、舌打ちする。
「いい加減にしろ…」
大森が立ち上がったのを気配で感じ取ったからだ。
大森は、ジャラ…、と鎖を引きずり、シュンロンに向けて飛ばす。
鎖はヘビのように宙でうねりながら、防ごうと上げられたシュンロンの左手首に巻き付いた。
それでもシュンロンは冷静に肩越しに大森を見据える。
「…2度も言わせる気か」
「2度も3度も聞く気はないよ」
力強く引っ張るが、シュンロンは地面を踏み締めて耐えている。
大森は力を緩めず歯を食いしばり、睨み合った。
「…100回言っても聞かなさそうだな」
シュンロンは刀を抜く。
「…っ」
刀身に氷が纏う。
また氷塊が飛ばされる、と大森に焦りが生まれた。
その時だ。
「やれやれ、まったくしょうがないね…」
こちらにやってくる人影。
「!」
「アンタ…!!」
大森は驚いて目を見開いた。
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