75:それでは殴りこみましょう。
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因幡は部屋を出てから、時々立ち止まっては振り返る。
誰かに呼ばれているかのように身体が反応するのだ。
「ハニー」
花婿衣装の黒のスーツを着たなごりが優しい声色で声をかける。
まるで誤魔化されているような気分だ。
「なご、おまえオレに何か隠してねーか?」
目つきを鋭くさせて因幡は尋ねる。
なごりの表情は揺るがない。
「隠してることなんてない。安心しなよ、誰もハニーを迎えに来ない」
「……………」
そうさせたのは自分だ。
わかってはいても、言葉に出されると胸にチクリと針が刺さったような感覚を覚える。
「…そう…だな…」
呟き、テラスが見える窓の外に目を向けた。
はっきりとした青空が見える。
*****
下水道から地下倉庫への侵入は成功だ。真っ暗な部屋の中を懐中電灯で照らし、エレベーターを発見した。
「あそこか!」
バン!!
「!!」
エレベーター付近の非常口階段へと続くドアが蹴り飛ばされた。
そこから出てきたのは、ダッチとライラックだ。
「読みは外れてなかったよーだぜ、ライラック」
「くくく…、当然です」
ライラックは自分のアゴを撫でる。
ダッチは人差し指を向けて人影を数えた。
「ひぃ、ふぃ、××…。ん? 3人?」
想定していた人数と違い、ダッチとライラックは怪訝な表情を浮かべ、ライラックは傍にあった地下倉庫の電灯のスイッチを押した。
*****
プロペラの音が遠くで聞こえた。
因幡の視界に飛び込んできたのは、一機のヘリだ。
外装には『姫』の文字があり、『うさぎ小屋』の上空を旋回する。
「なん…で…」
「ハニー!!」
なごりが止める前に、因幡はテラスへと続くガラス扉を開けて飛び出した。
「なんで…!!!」
こちらを見上げる因幡の姿をとらえたヘリが、空中で『うさぎ小屋』を見下ろすようにホバリングする。
そして、ヘリドアが開かれ、男鹿、姫川、神崎、邦枝、東条、桜が姿を現した。
*****
「「は?」」
地下倉庫を電灯の明かりで照らし、侵入者をその視界に入れたダッチとライラックは間の抜けた声を漏らした。
地下倉庫に侵入してきたのは、男鹿と東邦神姫ではなかったからだ。
「ちょ…、ちょりーっス」と神崎のジャージを着て、顔に傷痕のラクガキを書いた花澤。
「あはは…」と頭をリーゼントに、目に色眼鏡をかけた古市。
「どうも、ニセ男鹿と申します」と男鹿の短ランを着て、背中にクマの人形を背負ったアランドロン。
「え゛…」
「どちら…様…?」
.To be continued