06:病院ではお静かに。
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すっかり興が醒めてしまった因幡は散々男鹿に文句を言ったあと、ひとり校舎裏を歩いていた。
「あ―――…。つまんね―――」
こんなにぐだぐだと過ごしたことがあっただろうか。
いつもだったら、神崎と姫川のところに行ってヨーグルッチやキャンディーをかけてカードゲームしたり、だべったりしていたのに。
「痛てて…」
乱れた髪を掻きあげようとしたら、邦枝から負った傷に触れてしまい、痛みに顔をしかめ、宙を睨みつけた。
「あの女…、次は逃がさず勝敗決めてやる…」
(それにしても…、やっぱオレって元来の喧嘩好きだな。久々に、意識飛びかけるほど熱くなっちまった…)
それも男鹿によって冷まされるとは。
「とにかく、そうとなったらまた邦枝を捜さないと…」
そう言って曲がり角を曲がった時だ。
「!?」
邦枝についていた、大森と谷村がボロボロになってそこに倒れていた。
「おい! なにがあった!?」
急いで駆け寄って声をかけたが、2人の意識はない。
殴られたのか、打撲が見当たる。
「…ここで行ったら、オレがやったと誤解されるだろな…」
*****
「男鹿がやった?」
2人を担いで保健室に連れて行った因幡は、自動販売機コーナー付近で適当な不良を捕まえて事情を聞いた。
「あいつはやっぱ悪魔っスよ。女相手に容赦ねぇし…」
「男女差別がなくてオレは好きだぞ。…まあでも、ちょっとやり過ぎか…」
話を聞いた因幡は自動販売機のボタンを押し、2人分の冷たい緑茶を持って保健室へと戻った。
(まずは、本人達に話を聞かないと…)
どうも、男鹿が女子相手にあそこまで徹底的に殴りつけるとは思えなかった。
邦枝の耳にも届いているはずだ。
黙っているわけがない。
もし違うのなら、誰かの策略かもしれない。
「わっ」
保健室のドアを開けようとしたら、いきなり大森が飛びだしてきた。
大森は因幡には目もくれず、廊下を走って行く。
「な、なにが…」
「寧々さん!」
続いて他の女子が出てきた。
「なぁ、どうしたんだ? 怪我してるのに…」
「あ、もしかして寧々さん達運んでくれた人っスか?」
「お、おう」
見られていたのか、誰かから聞いたのか、どもり気味に答えた因幡にその女子も因幡の質問に答える。
「男鹿と葵姐さんがタイマンしてるって言ったら、寧々さん、慌てて飛び出しちゃって…」
「…!」
まさか、と考えた。
「これ、もうひとりが起きたら渡して」
女子に買ってきたばかりの緑茶を渡したあと、因幡は廊下を走り、大森が駆けた方向へ走った。
階段の踊り場に差し掛かったところで、待てよ、と立ち止まる。
「別にオレ、無関係じゃねーか…」
大森と谷村を保健室に連れていった以外、この件にはまったく関与していないのだから。
それでも気になって仕方なく、上へ続く階段を見上げ、考える仕草をする。
「……………」
ふとポケットを探った。
中にはポップキャンディーが2つ。
(…レモンが出たら、関わる)
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