73:――なんて終わらせません。
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ふぅ、と煙管から吐き出された煙が白の空間を漂い、消える。
「人間の記憶とは、想いとは、煙のように儚いものじゃ。好奇心が旺盛なわりに、すぐに忘れる。その癖、人間は愚かにも憶えようとする。胸に留めようとする。―――そんな勝手な人間が嫌いだった時もあるし、好きだった時もある…。まあ、それも勝手な話か…」
笑みを含め、その者はもう一度煙を吐きだして言葉を継ぐ。
「今はどうか、と聞かれれば正直答えにくい…。複雑な気分にさせてくれるのもまた人間じゃ…。まったく…。それでもワシらには、その人間と、人間が持つ『想い』がなくてはならない存在なのでな…。それはまぁ、追い追い知っていくことじゃろう。―――ここに来てしもうたからには…」
振り返るが、その顔は、見る者によって違う顔だ。
瞼を閉じ、かつて目にした情景を思い出す。
大昔、小さな祠から、すべてが始まったことを―――。
「ワシの契約者が関わってきた者達の『想い』はどれほどのものか―――…。それを試さねば、すべては始まらん。そして、その『想い』がどれほどのものか、ワシも見てみたい…」
だから、ワシの話はもう少し置いておこう、とシロトは笑った。
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