06:病院ではお静かに。
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病院をあとにした因幡は、最後に学校に行った日のことを思い出していた。
*****
入院中なのはわかっていたが、なんとなく足を向けたのが3年校舎だった。
どちらの教室を覗いても、本人達は不在。
下についてる不良達の数も日に日に少なくなっていた。
「あ、因幡君」
唯一変わらず、本人がいるかのようにそこにいるのが、夏目と城山だった。
「まーた減ってねーか?」
2人がいることに安心を覚え、因幡は普通の足どりで神崎の席に近づき、腰を下ろした。
「因幡、また勝手に神崎さんの席に…」
「バーカ、誰も座らねえように守ってやってんだろ」
「むっ。そういう理由なら座っていいのか…」
「座りたかったのかよ;」
そんな城山に苦笑しつつ、因幡は教室内を見渡した。
1、2…、姫川ほどではないが、また数人の不良達が姿を消している。
「…東邦神姫の神崎君と姫ちゃんがやられちゃって…、誰についていいか右往左往してるんだよ。東条の側につくっていう話も出てるみたい」
「……おまえらはどうする?」
「オレは常に神崎さんと共に!」
「オレはこっちの方が面白そうだから」
即答する2人に、因幡は口元を緩ませた。
「…そうか」
「因幡君はどうするの?」
夏目の質問に「え」と因幡は思わず間抜けな顔になる。
「どうって…」
2人と違って、即答はできなかった。
そもそも、どうしたいのかもわからない。
石矢魔には統一という目的で来ているのだから、今度は東条と邦枝に喧嘩を売りに行けばいいだけの話だ。
神崎と姫川はやられてしまったのだから、なにも依存する理由はないはずだ。
だったら、どうしてここに来てしまったのか。
*****
「…どうしたいんだ? オレって…」
帰り道の空を見上げ、小さく自問自答する。
「……………」
ふと、右手で後ろ首に触れた。
そこにあるのは、女であることの嫌悪と、強さにこだわる理由になったものだ。
消えないもの。
そして、忘れられないもの。
今は痛みはないが、意識すると、ジワリ…とあの時のことを鮮明に思い出してしまう。
それはまた別の話に。
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