64:秘密を教えましょう。
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私服に着替えてその上から革ジャンを着、赤のマフラーを首に巻いて靴を履き、家族を起こさないように静かに外へと出た因幡は石矢魔高校へと続く住宅街を走る。
道に積もっていた雪はもうどこにも見当たらない。
「…!!」
その途中で、待っていたように電柱の陰から2人の人影が現れ、因幡は足を止めた。
警戒して相手が街灯の下に出てくるのを待ち、照らされたその姿に目を丸くする。
「因幡」
「行くんでしょ?」
「おまえら…!」
夏目と城山だ。
ラミアが「他にも助っ人を呼んだ」と言ったことを思い出す。
夏目達にも召集がかけられたようだ。
「神崎君とクイーンはすでに向かってるよ」
「聞いてる」
「……わかってると思うけど…、堕天組には姫ちゃんが…」
「それもわかってる。―――でも、仲間の命がかかってるのなら、たとえ…、姫川でも……」
立ち塞がる姫川と戦っている自身が想像できない。
目を伏せてコブシを握りしめる因幡だったが、顔を上げて夏目と目を合わせた。
「……オレが姫川と戦えるかどうかはその時に考える。…けどよ、ここまできといてなんだけど、姫川はオレ達を裏切ってないって信じたいんだ」
姫川が素直に誰かもしれない男の下につくなんて考えたくもなかった。
「因幡、おまえ…」
「……それでこそ、因幡ちゃんだよ」
微笑を浮かべ、ぽん、と夏目は因幡の頭に手を置いてから、背を向けて歩き出す。
「行こうか。他のみんなもきっと向かってる」
「おう!」
*****
「ほらな、手遅れだ」
その様子を、なごりは住宅の屋根の上から胡坐をかいて眺め、口元を三日月形に歪めた。
.To be continued