05:本日も空回り。
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はっと目を覚ますと、そこにはしゃがんでこちらを覗きこむ夏目と城山の顔があった。
両手に抱えていたベル坊の姿はない。
「あ、起きた起きた」
「大丈夫か?」
「な…っ、ケヒョッ」
身を起こして咳をすると、口から黒煙が出た。
焦げくさい臭いは自分から発せられているものだと因幡は気付く。
辺りはすっかり夕暮れだ。
いったいどれくらい気絶していたのか。
信じられないことだが、記憶に間違いがなければ、ベル坊から電撃を食らったところまでは覚えている。
あまりの電圧に意識が飛んでしまったようだ。
「男鹿は!? あのヤロウ、赤ん坊にスタンガン持たせてやがった…!」
まさか本当にベル坊から放電されたとは誰も思わないだろう。
夏目の胸倉をつかんで問い詰めると、きょとんとした顔と一緒に意外な答えが返ってきた。
「え…。同士討ちじゃなかったの?」
「…なに?」
「男鹿ちゃん、黒焦げになって屋上に上る階段に転がってたよ。お友達が連れてったけど…」
「???」
なぜ男鹿が自分と同じようなことになっているのか、因幡には理解できなかった。
その結果は引き分けといえるのだろうか。
複雑な思いを抱きつつ、夏目の手を借りて立ち上がり、倒れないように自力で体を支える。
「その調子じゃ、いつもの近道通れないね。今日は歩きだ」
「……フン」
微笑まれて言われ、因幡は鼻を鳴らしてそっぽを向き、夏目と城山を残して先に出入口に向かった。
「因幡、これから神崎さんの様子を見に行くが、一緒に行くか?」
城山の誘いに因幡は一瞬立ち止まりかけたが、また歩調を取り戻し、振り返らずぶっきらぼうに答える。
「行かない。こんなカッコで行けるか」
「じゃあ、家で着替えてからおいでよ」
「だから、行かねぇっつってんだろ!」
最後に夏目に向かって怒鳴り、バンッ、と乱暴に扉を閉めた。
「夏目…」
「ん?」
「もしかしてあいつ…、照れているのか?」
「おお、鋭くなったね、城ちゃん」
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