59:サンタを手に入れるの誰でしょう。
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2回戦からはトーナメント形式でカップル同士が戦うということで、勝ち残ったカップルの男達が抽選箱から数字の書かれたボールを引いていく。
神崎は1番、古市は4番、出馬が7番、東条が10番、男鹿が13番、因幡が16番だ。
「最後辺りか…」
男側として抽選箱を引いた因幡は、引き当てた数字にがっくりと肩を落とす。
すべてのカップルが抽選箱を引いたのを確認した古奈はステージに立ち、マイクを口元に寄せた。
“さぁ、これですべてのカップルが出揃いました!! この中から果たしてベストカップルに選ばれるのは、どのカップルか!! 2回戦からはトーナメント形式で戦ってもらいます!!”
ステージの天井につるされているのは、スクリーンに映されたトーナメント表だ。
「…2回戦で男鹿と当たるのか…」
トーナメント表を見上げながら因幡が呟くと、なごりはその背中を叩いて「ダーリンなら勝てるわっ」と励ました。
そして、体育館の中央に出現したリングの上でどんな戦いをするのかと思えば、第1試合の神崎と花澤ペアの戦いは、ペットボトルを飲み回しながらどちらのカップルが早く飲み干すか競い合う『間接キス大作戦』。
神崎と花澤が間接キスをしながらペットボトルを飲み干すかと思えば、先行で飲んだ花澤が恥ずかしがって神崎を殴り飛ばし、対戦相手のカップルも巻き添えを食らって気絶してしまい、花澤は勝利をおさめた。
殴られた神崎はリングから下ろされ、観衆から少し離れたところで、因幡、城山、夏目、姫川に囲まれて治療を受けていた。
大したケガでもないので、仰向けに寝かされ、冷たいタオルを目元に載せられているだけだ。
その傍に花澤が座り、「ひえええ、すんまっせんっした―――っ!」と謝っている。
第2試合は古市と大森ペアと山村と藤崎ペアの戦いだ。
カップルたるもの、恋人が何を言おうとしているのか察することができなくてはということで、制限時間中にスクリーンに映されるお題をジェスチャーで相手に伝える『以心伝心ジェスチャーゲーム!!』。
女性陣が伝えるお題を見て、その屈辱極まりない内容に大森に不利があるかと思われたが、天然な藤崎が言葉で教えてしまったことによって失格が確定し、古市と大森ペアが勝利をおさめた。
その頃、復活した神崎は、背を向けた拗ねた態度でヨーグルッチを飲み、花澤はその背後で必死に謝っていた。
「神崎先輩、機嫌直してくださいっスよ―――っ」
「大人げねーぞ神崎」
「許してやれよ神崎」
見兼ねた姫川と因幡が声をかけたが、神崎の不機嫌はしばらく続き、多少直った頃には、出馬と邦枝ペアの戦い、東条と七海ペアの戦いも終わり、第7試合の男鹿とヒルダペアと偽名を名乗って参加していた早乙女と薺の戦いが始まった。
パートナー同士で体で風船を挟み、手に紙やすり付きの手袋をはめ、相手の風船を割った方が勝利する『ドキドキ密着風船割りゲーム』。
ひょんなことでヒルダは再びベル坊とキスして記憶を取り戻し、強気なヒルダに戻り、リングの上は風船を割るためとはいえ魔力のぶつけ合いが繰り広げられ、接戦の末、早乙女の裏をかき、男鹿とヒルダペアが勝利をおさめた。
そして、迎える第8試合は、因幡となごりペアと守山と瀬田ペアの対決だ。
リングの上に上がる因幡達。
「ようやくか。待ちわびたぜ」
「16番引いたダーリンが悪…ぐへっ!!」
後ろ右脚を上げてなごりの腹に足裏をめり込ませ黙らせる。
気絶されては困るので手加減はしておいた。
“さあ!! 第8試合は石矢魔の因幡・卯月ペア対守山・瀬田ペアの試合を始めたいと思います!! 4人に対戦してもらう競技はこれです!!”
そこで用意されたのが、細長い、茶色の棒だ。
直径はストローほど。
長さは約5m。
折れてしまわないように慎重に運ばれてきた。
「なんだこれ…」
因幡が首を傾げていると、茶色が少し溶けているのを見てなごりが言い当てる。
「! この茶色…ひょっとしてチョコレートじゃ…」
“その通りです、卯月選手!! これから4人にやっていただく競技は、題して『ハラハラポッキーニゲーム!!』!! 用意されたロングポッキーニを先に食べたカップルが勝利となります!! 両者、端同士を咥えた同時にスタートとです!!”
説明を聞くなり、因幡は両手と両膝をついた。
「帰っていいですか…」
「勝負が始まる前からくじけちゃダメよダーリン!! 諦めたらそこで試合終了ですよ!!」
励ましているつもりだが、因幡はさらに凹んだ。
こいつとやるのか、と。
“もし途中で折れてしまったらその時点で失格となってしまいます!! 妨害はありです!! が、妨害しようとしたところで自分達のを折ってしまうかもしれません!!”
長いため、ヘタに動き回ることができない。
しかし、妨害していいと聞いて、因幡は立ち直る。
「そっか。妨害オッケーな」
「ダーリン、顔がイキイキとしてる…。さすが不良…;」
その邪悪笑いを見た守山達もたじろぐほどビビっていた。
因幡は右耳に触れてから、ポッキーニに近づく。
“それでは…”
位置についたところで古奈がスタートさせようとしたところで、なごりが「ちょっといい?」と手を挙げる。
“はい、なんでしょう?”
「食べ終わる時、キスしちゃってもいいのー?」
「な!?」
それを聞いて観衆から黄色い声が上がった。
因幡と守山達も顔を真っ赤にしている。
“なんという大胆な発言…!! ぶっちゃけアリです!! というか、自己責任でお願いします!!”
「ふざけんなコラァ!!!」
“さあ!! 始めてください!! よ―――いっ!!!”
因幡の抗議を無視し、古奈は試合をスタートさせる。
因幡は渋々ポッキーニを咥えて食べ始めた。
ぽきぽきぽきぽき…、と両者は急いで食べ進める。
“どちらもスピードを緩めず!! というか絵柄が妙に地味に感じるのは私だけでしょーか!!?”
「くっそー!! なんであのゲームじゃなかったんだ―――っ!!」
「うるさいよ!!」
悔しがる古市に大森が叱咤する。
「パネェ!!」
「あいつマジでするつもりか?」
神崎と花澤も静かに見守っていた。
(……ここらへんでいいか)
両者、残り1mといったところで、因幡は右手に隠し持っていたものを足下に落とし、右足の爪先で軽く蹴った。
パキッ…
「「!!?」」
突然、守山と瀬谷が咥えたポッキーニが真ん中から綺麗に折れてしまった。
2人は目を大きく見開き、驚きを露わにしていた。それは観衆も同じだ。
“ああ―――っと!!? どういうことでしょう!? 守山・瀬田ペアのポッキーニが折れてしまったああああ!! これにより、守山・瀬田ペアは失格!! ポッキーニゲームを制したのは因幡・卯月ペアです!!!”
勝利確定と同時に、因幡はポッキーニから口を放し、「あとはやるわ」となごりにパスした。
「え、今の何…」
なごりは残ったポッキーニを未だにぽきぽきと食べながら尋ねるが、因幡はリングから城山を呼んでいた。
「城山ぁ、悪い、オレのイアリング探してくんね? 黒の。たぶんギャラリー辺りに落ちてると思う」
「……ああ、さっきのはソレか」
なごりは、因幡の右耳にさっきまで付けていた黒のイアリングがないことに気付き、先程足で蹴ってポッキーニを折ったのはそれだと察した。
試合開始前に外して右手にずっと隠し持っていたのだろう。
「というか、最初からさっさとやればよかったんじゃ?」
「……小腹が空いてて…」
因幡は腹に手を当てながら恥ずかしそうに答えた。
「恥ずべきところは間違ってるが、そういうところも萌えだなっ!!」
なごりはそれで済ますことにした。
これで因幡達は準々決勝進出が決定した。
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