58:クリスマスがやってきました。
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
季節は12月。
冬のイベント、クリスマスがすぐそこまで近づいてきていた。
登校中の、因幡、神崎、夏目、城山の4人はクリスマスの話をしながら学校へと向かっていた。
二葉のためにサンタとなってクリスマスプレゼントを買うのが面倒だからといって、二葉にサンタがダンプに轢かれて死んだと言った神崎の話を聞いて因幡は白いため息を吐き出した。
「おまえ二葉ちゃんまだ4つだろ。子どもの夢壊してんじゃねえよ。かわいそーに」
「壊しちゃいねーよ。「サンタがいない」とは言ってねーだろ」
「だからってサンタ殺すな。余計に残酷だっての」
「そういう因幡ちゃんは、サンタっていつまで信じてたの?」
「ん―――…」
夏目の質問に、因幡は首元の赤いマフラーを巻き直しながら思い出し、答える。
「…5つくらいの時かな」
「けっこう早いな」
城山は小さく驚いた。
そんなに早くも夢終わってしまう幼少時代を過ごしたのだろうか、と。
因幡はその時のことを回想する。
クリスマスの夜にサンタが届けに来てくれるとコハルの口から聞き、寝たフリをしてベッドで待ち構えていたら、ドアから堂々とサンタ服を着た白ヒゲの男が部屋に入ってきた。
『サンタさんっ!!』
起きているとは知らず、サンタもプレゼントの箱を手に驚いた顔をしていたが、すぐに「そうだよ~。サンタさんだよ~」と取り繕い、しゃがんで因幡の頭を撫でた。
あからさまに喜んでいる因幡に、ふと、サンタはこう聞いた。
『桃ちゃんはー、パパとサンタ、どっちが好きかなー?』
『サンタさんっ!!』
瞬間、サンタが膝から崩れ落ち、顔を上げると白ヒゲが取れた日向の泣きそうな顔がそこにあったそうな。
「その次の年から、サンタじゃなくて父さんがプレゼントくれるようになった…。サンタになった自分に嫉妬してどうすんだあのアホ親父」
「「「……………」」」
今とは変わらない娘への溺愛ぶりに神崎組が少し引いていた。
「今年もくれるらしい…」
もう高校生だってのに、と因幡は呆れ果てていた。
「今年って…、まだ入院中じゃなかったか?」
ユキの襲撃で因幡家は未だに石矢魔病院に入院生活だ。
回復の早かった因幡だけが一昨日退院し、自宅から学校に通っている。
「学校帰りに寄ってけってさ。入院中だろうが、病院でクリスマスパーティーする気らしい…。うちの家族もアホばっかで困ったもんだ」
苦笑する因幡に、夏目は笑顔で問いかける。
「オレ達もクリスマス会やっちゃう?」
「……バーカ、ガキじゃねーんだから、はははっ」
因幡は小馬鹿にするように笑ってそっぽを向き、神崎達より一歩先を歩いた。
「♪」
本人は気付いているのか鼻歌を歌いだす。
(あ、やりたいんだ)と夏目。
(心なしかちょっとスキップしてる…)と城山。
(鼻歌が“ジングルベル”だ)と神崎。
首元のマフラーの端も、スキップに合わせて喜ぶように揺れていた。
.