51:地下へ参ります。
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具象悪魔と話をつけたとのことで、男鹿を先頭に、ついに悪魔の肖像がある部屋までたどりついた。
ドアを潜り、広くなった空間に、5、6mはあるだろう大きな肖像が壁にかけられていた。
その絵は、姫川の言った通り、長い黒髪の美女が描かれてある。
外で待機しているラミアと端末で連絡を終えたあと、ヒルダは絵の前に近づき、見上げた。
「お久しぶりでございます、アイリス様」
姫川は火のついたライターを手に、その絵画を燃やそうとしていた。
古市は慌てて姫川を羽交い絞めして止める。
「待ってください、姫川先輩!!」
「放せ、古市っ!! 燃やすっつってんだろ!!」
絵画を見上げる久我山は、驚きを隠せずにいた。
「驚いたな。本当にここまで辿りついたのか」
今まで、絵画に近づこうとした者は皆仲間割れを起こしていた。
久我山の3人のSPもその絵を見上げて茫然としている。
「…これが、悪魔の肖像…」
「誰も辿りつけなかった場所にあっさりと…」
未だに絵画を見上げるヒルダを横目で見ながら、男鹿は声をかける。
「おまえ…、知ってたのかよ」
「何がだ…?」
「とぼけてんじゃねーよ。この絵の女のことだ」
具象悪魔から聞いたのは、この絵のアイリスと言う女性が、ベル坊の母親だということ。
ヒルダは絵画を見つめながら答える。
「…具象悪魔から聞いたのか? 当然だ。私は坊っちゃまが生まれる前からお仕えしてきたのだぞ」
「え? え!? なんすか!? 誰なんスか、この美人!?」
そこで古市は、ヒルダの知り合いと聞いていきなり姫川を押しのけ、ヒルダに近づいた。
その拍子に、姫川のリーゼントにライターの火が燃え移ってしまう。
「あっつ!! ちょっおまっ…、あっつっっっ」
ヒルダが古市に、ベル坊の母親だと教えている近くで、姫川は火のついたリーゼントに慌てふためく。
「あっつ…水っ水っ!!」
「姫川様っ!!」
SP達はスーツの上着を脱いでバサバサと勢いよく煽いでリーゼントの火を消そうとするが、火の勢いは増すばかりだ。
「たすけて」と煙文字まで作ってみせ、ぎょっとする古市。
ブシャァッ!
そこで後ろから肩をつかまれた姫川は、頭上に思いっきり水を浴びせられ、リーゼントの火は鎮火した。
だが、そのせいでサングラスは床に落ち、リーゼントは解け、イケメンバージョンの姫川になる。
「助かったぜ…」
姫川は顔を上げ、目が合った人物にフリーズした。
ミネラルウォーターが入っていたペットボトルを握りしめた神崎がそこにいたからだ。
「あ…」
神崎も、しまった、という顔をする。
急いで因幡のバッグから飲み残しのミネラルウォーターを取り出して駆けつけたのはいいが、そのあとの言い訳さえも考えていなかった。
「な…んでてめーが…。逃げるなそこぉっ!!」
ドアからそれを窺っていた因幡が逃げ出す前に、姫川は怒鳴り声を上げた。
「う…っ」
だるまさんが転んだのように停止する因幡は、ゆっくりとこちらに振り返った。
誤魔化すような笑みを浮かべる因幡だったが、姫川に通じるわけがなく、ぎろりと睨まれる。
神崎は素知らぬふりをして口笛を吹いていた。
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