50:金持ち学園に潜入です。
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黒狐のバイクに乗せられた因幡達は、山中を走り、夜が明けるころにはサンマルクス修道学院の近辺まで来ていた。
正門に到着する前に、神崎は豊川にバイクを停めさせ、バイクごと因幡達とともに茂みに身を潜めて正門の様子を窺う。
「デカッ。門デカッ。しかも豪華! アレって金じゃねーの!?」
初めてその門を目にした因幡と、豊川達も驚きを隠せなかった。名のある上流階級学校というだけある。
「オレもテレビでしか聞いたことなかったけどよー…」
高さ18mのうえ、純金製。
正門の前には2人の警備員も配置されてある。
「金持ち頭おかしいだろ」と寿。
「オレ達は…、ここまでだ…。…おまえらは…、どうする気だ…?」と伏見。
彼らの役割は、正門の近くまで因幡達を送り届けることだが、どうやって中に侵入するのかは気になるようだ。
神崎も、因幡に策があるというから任せ、どうやって侵入するかまでは聞かされていない。
これで侵入に失敗すれば、命の保証はないのだ。
今更になって自分の身が心配になってきた。
「不審者は問答無用で撃ち殺されるって話だぞ」
神崎が横目で因幡を見ながら言うと、因幡は肩に提げたボストンバッグを地面に下ろし、中を漁りだす。
「ちょっと待ってろ」
因幡には秘策があった。
それは神崎との待ち合わせ、2時間前に遡る。
*****
「ダメよ」
「そこを頼むよ、母さん」
ネームがひと段落し、ダイニングのテーブルでコーヒーを飲みながら休憩していたコハルに、学校から帰ってくるなり因幡はその向かいの席に座り、姿を消せる魔言を教えてほしいと頼み込んでいた。
以前、行方不明になっていた時、因幡に発見されるまで、その魔言で言葉通り身を潜めていたことがあるからだ。
「確かに、人間の目や、人間界の監視カメラにも映らない魔言だけど、誰でも使えるようなものじゃないし、悪行に使うなら言いません」
(自分だって姫川と神崎の観察に使ってたクセに…っ)
そのつっこみをぐっと飲み込み、因幡は平静を保ちながら言う。
「悪いことには使わねーよ。実は姫川が…」
「? 姫川君が?」
因幡は、姫川がなにか自分たちに隠し事をしていることや、男鹿達だけで学院に乗り込もうとしていることを正直に話した。
「―――…つーわけで、オレと神崎が尾行しようってことになってだな…。神崎も…、「オレ、姫川に隠し事されてるみたいで…、ショックで…。因幡…、どうにかできねーかなぁ?」って!!」
最後はウソのうえ、必要以上に美化されています。
「……………」
コハルはコーヒーをソーサーの上に置き、一度仕事部屋に行くと、2枚の紙を手にまた戻ってきて、因幡の目の前に置いた。
その紙には、解読不能の文字と魔法陣が描かれてある。
「これ…」
コハルを捕まえる際に握りしめた紙と同じだ。
「“ハイドカード”。私が桃矢ちゃんたちから隠れてた時に使ってた呪符よ。…戻ったら報告よろしく!」
「まかせとけっ」
コハルが親指を立てると、因幡も親指を立てて返した。
(またなにか企んでる…)
ダイニングに入ってきた春樹は、そんな2人を一瞥し、ソファーに腰掛けてテレビのリモコンを手に取った。
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