04:育ての親より不良の親。
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放課後、神崎、姫川、夏目、城山は赤ん坊と因幡の服を持って因幡の家へと向かうため、住宅街の道を歩いていた。
いずれにしろ、因幡と関わりがあるのなら、あの母親はなにか知っているのではないかと考えたからだ。
現在赤ん坊は神崎が抱っこしている。
「因幡君の家に行くの、初めてだなぁ」
背後にいる夏目のそんな声を聞き、姫川は小声で神崎に話しかける。
「…あの因幡母が余計なこと言って、因幡が女だってことバレねぇか…」
「バレてもオレが口止めさせる」
「なにをコソコソと喋ってんの? オレ達も入れてくんない?」
「夏目、割って入ってくんじゃねーよ」
「ひどーい」
そんな話をしていた途中、神崎と姫川は目の前に現れたものに立ち止まった。
急に立ち止まるので、夏目は神崎の背中に軽くぶつかった。
「っと…、なに?」
肩越しに見ると、他校の制服を着た不良達が立ち塞がっていた。
「東邦神姫の神崎と姫川だな」
中心にいたリーダーと思わしき不良が言う。
「だったらなんだ?」と睨みをきかす神崎。
いつの間にか、城山と夏目の背後にも他の不良達が現れる。
「県下最強の石矢魔の東邦神姫をねじ伏せれば、名が知れ渡るってきいたもんでな…」
「はぁ? おまえらどこのモン? 全然知らねぇんだけど」と姫川。
リーダーの額に青筋が浮く。
「だったら今から思い知らせてやるよ!!」
一斉に、パイプや角材を持った不良達が襲いかかる。
神崎達は次々と返り討ちにしていくが、赤ん坊を抱っこしている神崎は動きにくそうだ。
「!」
赤ん坊に向けて鉄パイプが振り下ろされる。
「ぐ!」
神崎は咄嗟に背中を向けて鉄パイプから赤ん坊を庇い、後頭部を撲られ片膝をついてしまう。
「神崎さん!」
「神崎君!」
応戦中の夏目と城山は思わず動きを止める。
「ぎゃはは! こいつ、赤ん坊抱えて動きにくそうだぜ!」
鉄パイプの第2の攻撃が来ようとしたとき、それは姫川のスタンバトンによって受け止められ、電流を流されて悲鳴が上がる。
「姫川!?」
「いいか! 間違っても怪我させんじゃねーぞ!」
そんな姫川を横から襲いかかろうとする不良が神崎の視界に映り、立ち上がった神崎は右脚を上げてかかと落としを食らわせた。
2人はそのまま背中合わせになる。
「その赤ん坊が邪魔のようだな」
リーダーはその状況を優勢と判断する。
「この数に勝てると思ってんのか?」
不良達はまだ集まる。
状況に似合わず薄笑みを浮かべる姫川は、携帯を取り出して操作した。
「そうだな…。だったら、数には数だ」
「あ?」
石矢魔からそんな離れた場所じゃなかったのがよかったのか、奴らはすぐに来た。
「姫川さん!」
「そいつらフルボッコにしたらボーナスもらえるって本当ですか!?」
「神崎さーん! 無事っスかー!!」
駆けつけてきたのは、神崎と姫川の傘下の不良達だった。
「ついでにおまえの下の奴らにも知らせておいた」
「けっ、余計なことを…」
押し寄せる数に、他校の不良達は浮足立っている。
「チィ…ッ。…おい!」
リーダーの指示で不良3人が神崎に襲いかかる。
神崎と姫川は蹴りと武器ですぐに返り討ちにするが、攻撃し損ねたひとりが手を伸ばし、赤ん坊を奪い取った。
「! しまった!」
奪い取られた赤ん坊はリーダーに抱えられる。
「ははは! 油断したな、神崎! この赤ん坊は人質だ! 返して欲しかったらおとなしく殴られろ。姫川、てめぇは部下を下がらせな! ……おい、なにしてんだ」
リーダーはその光景を不思議そうに見つめた。
神崎達どころか駆けつけてきた石矢魔生徒全員が己の耳を塞いでいるからだ。
全員が、あーあやっちまったな、という顔になっている。
「な…、なん…」
「びえええええええ!!!」
よほど嫌なのか、最上級の泣き声だ。
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