48:ちゅらいって何ですか?
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場所は移り変わって、ここは国際通り。
那覇最大の繁華街だ。
観光客向けの店舗が多く、ほとんどの観光客はこの通りで土産を買っていく。
自由行動で、因幡、神崎、二葉、夏目、城山の5人は各店舗を見回っていた。
「春樹にはシーサーの置き物でも買って帰ってやろうかな…」
因幡は前かがみになって店の前に並べられたシーサーの置き物をじっくりと眺めていた。
小さなものから大きなものまで。
表情もそれぞれだ。
首里城を背景にしたシーサーもある。
「いっそこのデカいの買ってやればどうだ?」
神崎は重石と思わせるようなシーサーの石像を抱えて持ってきた。
「かさばるわ」
嫌がらせもいいところだ。
迷った結果、無難に小さくて赤いシーサーのキーホルダーを買うことにした。
春樹、日向、桜、コハル、自分のとお揃いだ。
「家族とおそろにするやつも珍しいな」
「そういうもんか?」
城山に言われ、因幡は首を傾げた。
「オレ達もおそろ買っちゃう?」
夏目は色んなストラップを持ってきた。
「っていうか、思わず買っちゃった♪」
「買ったのか」
色違いのガラス玉がついたストラップだ。
浮き球がモチーフとなっている。
夏目は「ちゅら玉だよ」と教えた。
「オレはオレンジ。城ちゃんは明るめに黄色。神崎君は緑。因幡ちゃんは…、赤か水色か迷ったけど、お気に入りの靴の色に合わせて水色。二葉ちゃんは女の子らしくピンク」
そう言いながら、順番に、買ったばかりのそれを渡していった。
「おそろって、女子か」と神崎。
「キレイなストラップだな」と城山。
「これ、男がつけても大丈夫だよな?」と因幡。
「あ、これ、暗いとこだと光るぞっ」と二葉。
「その紫は?」
神崎が夏目の片手に指をさして尋ねると、夏目は指でつまんで見せつける。
「姫ちゃんの」
因幡は、やっぱり、と苦笑する。
「あいつがつけるのか?」
神崎は肩を落としながら言うと、夏目は「それオレも思ったけど…」とこちらも苦笑した。
その時、因幡のポケットから着信音が鳴り響いた。
「!」
「鳴ってんぞ」
神崎に促され、ポケットからケータイを取り出して通話ボタンを押し、耳に当てる。
「―――あ? …ああ。別にいいけど…。うん…。すぐに行くから…。こっちは土産も買い終わったしな」
そのあとも少し会話をしたあと、因幡は通話を切った。
「母さんからだった」
「なんだって?」
夏目が問うと、因幡はため息まじりに答える。
「原稿用紙がなくなったから買ってきてくれってさ。沖縄まで来て仕事モードだ」
自分と違ってコハルはゆっくりと旅行も満喫できない。
土産は買い終わったので、因幡は、「近くの文房具屋に寄ってから宿泊しているホテルへと向かう」と言う。
「ホテルに戻ったら、ついでにそれ、姫川に渡しとくから」
「あ、頼める?」
夏目に姫川の分のストラップを受け取った。
「……うん。いいな」
早速とばかりにケータイに自分のストラップをつけた因幡は微笑んで頷き、神崎達に「それじゃあ、あとで」と背を向けてホテルに戻ろうとしたが、途中で立ち止まって肩越しに振り返る。
「昨夜とイルカショーの時もあるし、あんまり単独行動はしねーほうがいいぞ」
美ら海水族館のイルカショーの時、珍高の不良3人が聖石矢魔の女子達にちょっかいを出し、また争いが勃発しかけた。
邦枝と一緒にいた哀場は、デートの邪魔をされたことに腹を立て、珍高の不良達の内のひとりをデコピンで海まで吹っ飛ばしてしまった。
その時に因幡はヒルダと同じく微かな魔力を感じ取った。
土産を買っている最中も、珍高の不良達がまたちょっかいをかけてこないかと警戒していたのだった。
「こっちのことより、てめーの身でも心配してろ。オレらがやられると思ってんのか」
「そりゃ失礼」
クス、と笑った因幡は前に向き直り、歩を進めた。
それを見送った神崎は「さすがにここじゃ、飛ばねえか」と呟く。
人通りが少なければ、屋根の上をぴょんぴょんと飛んで近道を通っていたことだろう。
買い物の続きをしようとしたところで、ドン、と誰かにぶつかった。
「って」
「っ、気を付け……」
「「!?」」
ぶつかった人物を睨みつけようとして目が合ったのは、豊川だった。
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