47:旅先の出会い。
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宿泊先は、海辺近くのリゾートホテルだ。
ロビーで“聖石矢魔学園御一行様”の札を見つけ、男鹿と神崎がそれに近づく。
「おおっ。御一行様だ」
「なんだぁ? ウチの名前がねーぞ。書くか」
神崎はどこからかマジックペンを取り出し、隣に堂々と書こうとしたが、見ていた邦枝に「だから、やめろっての」と注意された。
「ん?」
「おぉ?」
「なんだこの隣のやつ」
このホテルに宿泊するのは、聖石矢魔学園だけではないようだ。
その札の隣に、“南珍比良高校御一行様”と書かれた札がかけられてある。
そこで、ホテルの出入口からぞろぞろと、容姿から歩き方まで不良だとわかる集団が入ってきた。
「おらどけ」
「なに見てんだコラ」
「へへへ」
周りの人間に凄みながら道をつくり、神崎と男鹿が見つけた札の前へとやってくる。
「なんだこりゃ」
「せいいしやまだー?」
「オレ達だけじゃねーのかよ」
そう言って“聖石矢魔学園”の札に唾を吐いた。
「ちょっ」
邦枝がなにか言う前に、男鹿はその肩に手を置いて止める。
「男鹿…」
振り返った不良は、聖石矢魔の生徒達を見渡す。
「共学か…。楽しそーだねー。こちとら男だらけのしょっぺー旅行だってーのに」
「どこの坊っちゃん高校か知らねーが。どいつもこいつもぬるい顔しやがって」
「こらっ、おまえら。よその学校に絡むんじゃないっ」
引率の教員が不良たちに注意するが、「へーへーっ」と気だるそうに返事を返すだけだ。
「まー、仲良くしてくれ…やっと」
「きゃっ」
聖石矢魔生徒の女子の尻に気軽に触り、下品な笑いをする。
「待ちなサイ」
そこで現れたのが、榊とアレックスの2年の六騎聖だ。
「六騎聖!!」
聖石矢魔の生徒は待ってましたとばかりに声を上げる。
「あぁ?」
「なんだてめーは」
アレックスは尻を触られた女子をかばうように不良たちの前に立ちはだかる。
「うちの生徒への手出しは私達が許しませんヨ」
「ヒヒッ」
「かっこいー」
「許さなきゃどーすんだ? ポカポカ殴んのか? あ!?」
不良のうちのひとりがアレックスに近づき、コブシを振るったが、アレックスは瞬時にそれをかわすと、コブシをその不良のアゴの当たるか当たらないかの至近距離で止める。
同じく、榊も鞘から竹光を取り出し、不良たちに構えた。
「やはり不良はくだらない。次は当てマスよ」
鋭い眼差しを向けると、背後から「よーす」「どーした? 安達」と声がかかった。
振り返ると、先程の数倍の数の不良がアレックスと榊を囲っていた。
軽く30は超えている。
「おいおい、ありゃいくらなんでも」と城山。
「多勢に無勢だねー。かわいそーに」と夏目。
「「……………」」
分が悪い状況に、アレックスと榊に冷や汗が浮かぶ。
アレックスに殴りかかろうとした不良は、優勢に立ったことで口元に余裕の笑みを浮かべた。
「大体てめーら、名前が気にいらねーぜ。聖石矢魔だぁ? オレ達関東の不良のカリスマ石矢魔高校の名を騙るたぁ…。殺されても文句言えねーぜ!!」
再びアレックスに殴りかかる不良。
だがそのコブシは、アレックスの前に遭現れた男鹿の右二の腕に当たった。
「いた」
「え?」
「痛いんですけど」
「いや…」
ゴキャッ!!
次の瞬間には、男鹿は容赦なくその不良を殴り飛ばした。
「ちょっ…、男鹿、待ちなさ」
止めようとした邦枝だったが、
ガガッ ボコォッ ドッ
喧嘩をおっぱじめたのは男鹿だけではなかった。
「オレのちんすこう踏んでんじゃねーよ。あー?」と鼻血を垂らして気絶した2人の不良の胸倉をつかむ東条。
「坊っちゃん? 金持ちナメると死ぬぜ?」と気絶した不良の襟首をつかむ姫川。
「せっかくのバカンス気分台無しにすっとブッ転がすぞボケ共」と床に転がした不良を踏みつける因幡。
(や…、やっちゃった…、いきなり…)
やはりというかもめ事は起きてしまった。
次々と不良たちを叩きのめしていく男鹿達に、南珍比良高校の不良たちはざわめく。
「………っ、なんだこいつら」
「つ…、強ぇぞっっ!?」
「騒ぐんじゃねーよ、みっともねー」
そこで、後方からひとりの不良が現れ、不良たちは一斉にそちらに振り返った。
「!!」
「哀場さんっ!!」
「うちの子が起きちまうじゃねーか」
哀場、という男の背中には、おんぶ紐でくくられた小さな幼女がいた。
石矢魔生徒はどこか親近感のある光景に目を丸くした。
.To be continued