04:育ての親より不良の親。
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
一方、昼の屋上にて。
「…足りない」
男鹿の傍らでヒルダが籠の中を探りながら呟く。
「なにが?」
男鹿は、哺乳瓶に入ったミルクをベル坊に飲ませ始める。
「ベルゼ坊っちゃまのミルクを凝縮した玉だ。一見、アメ玉に見えなくもない。…もしかして落としたか?」
そこで男鹿の隣で弁当を食べていた古市は「えっ」と顔を青くする。
「落とすとマズいものなんですか? 踏んだら爆発するとか…」
「馬鹿を言うな。そんな危険物を坊っちゃまに食べさせるわけがないだろう。…あれは湯に入れれば溶けてミルクができ上がる即席ものだ」
「カップラーメンみたいなものか」
男鹿のたとえは置いといて。
問題があるかないかの話だ。
「ああ。年齢2歳以上の人間が飲んだら大変なことになるがな」
平然と言うヒルダに、古市はおそるおそる尋ねる。
「た、大変なことって…?」
「うむ。…赤子になってしまう」
(大変なことだ―――;)
しかし、と古市は考える。
もしそれを食べて赤子になってしまったら、ヒルダ、もしくは綺麗なお姉さんに面倒を見てもらえるのではないかと古市特有のポジティブ思考になる。
「オレは別に赤子になっても…。1日くらい…」
「期限で元に戻るものではない。戻るための条件がある」
「条件?」
デレデレとやらしいことを妄想していた古市は首を傾げる。
「愛情を注がれなければ元には戻れない。もし貴様がそんなものを食べてしまったらどうする? ……元に戻るのに16年は必要だ」
「つまりオレは誰からも愛情注がれないんですか!!? 注がれずにすくすくと16年費やすんですか!! 悲しすぎる!!;」
古市は涙目で訴える。
「まあでも、落としたとしても拾って食う奴はいないだろ。精々、犬か猫ぐらいだ」
呑気なことを言う男鹿。
*****
その頃、3年校舎ではそれを食べてしまった者の姿があった。
見つけてしまった、トロピカルフルーツ味のポップキャンディー。
「ね…、ねえ、じゃあこの服…、因幡君の……」
夏目の言葉に、一同、静まり返る。
沈黙を破ったのは、神崎の言葉だった。
「なら…、あいつは今…、すっぽんぽん…」
((((すっぽん…))))
全員の脳裏に、カメのスッポンが浮かぶ。
「いや…、オレが言いたいのは、そのコを包んでるのって因幡君の学ランじゃ…」
そこで姫川のサングラスがキラリと光った。
「言うな、夏目。つまりこいつの正体は…、因幡の子どm」
「あだぁ!!!」
「ぶはっ!」
遠慮のない両足飛び蹴りが姫川の右側頭部に叩きこまれた。
「違うって言ってんぞ。たぶん」
空中に飛んだ赤ん坊をキャッチする神崎。
姫川の蹴られた部分から煙が上がっていた。
「末恐ろしいガキだぜ…」
.