47:旅先の出会い。
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
因幡が飛行機から飛び降りる事件は免れ、旅客機は無事に那覇空港に到着した。
フラフラと空港の出口から出てきた因幡の顔は気分が悪そうにげっそりとしている。
「大丈夫かよ…」
神崎が声をかけると、因幡は首を横に小さく振った。
「もう2度と乗らねえ…」
「いや、帰りも乗るからな?」
姫川が言うと、因幡は「そういえば」とショックを受ける。
そのまま倒れるのではないかとよろめいたとき、空港の屋根の下から出て、沖縄の青空がその瞳に映った。
「沖縄ぁ―――っ!!!」
淀んだ空気が太陽の光にかき消されたかのように一気にテンションが上がり、ぴょんぴょんと喜びを露わに跳ねまわる。
「「復活早っ!!」」
神崎と姫川は同時につっこんだ。
ホテルに行く前に、バスに乗ってやってきたのは首里城だ。
聖石矢魔の列に続いて石矢魔も観光する。
石垣と城門の多い首里城の敷地内で、唯一エレガントな雰囲気を漂わせている守礼門を見つけるなり、因幡はその上に飛び乗った。
「おおー。眺めいいところだな」
「そこはのぼらないでくださーいっ」
注意するのはツアーコンダクターだ。
「自分で高いとこにのぼるのは平気なのか」
飛行機でのパニックぶりを見ていた城山は、それを見上げながら呟いた。
頂上ともいえる正殿にやってくると、二葉は因幡のズボンの裾を引き、正殿の屋根を指さす。
「桃! あそこまでのぼれるか!?」
守礼門でのぼったところを見ていたのだろう。
のぼりたそうに目を輝かせる二葉に、因幡は小さく笑って「楽勝」と言って、二葉を肩車して正殿の屋根へと飛び移った。
そこから見える景色は絶景だ。
那覇市が遠くまで見渡せる。
「「おおーっ」」
「スゲーなベル坊!」
「ダウィーッ」
いつの間にか、隣には男鹿とベル坊が立っていた。
ついてきたようだ。
同じく絶景を眺め、目を輝かせていた。
「フハハハッ。人がゴミのようだーっ」
「ダブダーッ!!」
せっかくなので、男鹿とベル坊はジブ●ネタを披露。
「のーぼーるーな―――っ!!!」
再びツアーコンダクターに注意されてしまう。
「因幡! 二葉連れてさっさとおりてこいっ。遊んでんじゃねえ!」
「遊びに来たんだろーがよー」
ぶつくさ文句を言いつつ、因幡は仕方なく二葉を肩車したまま神崎達のもとへと戻った。
首里城の見学も一通り終わり、一行はレストセンターである首里杜館で一時的な休息をとっていた。
そこには、ここには、ビジターロビー、情報展示室、総合案内、レストラン、売店、駐車場などがある。
売店にやってきた因幡は、一足先に、春樹達に渡す土産を選んでいた。
「もう買うのかよ」
神崎も二葉をつれて土産コーナーに来ていた。同じく東条も、懲りずにちんすこうのコーナーにいる。
「ここの、まとめて買うと他より安いってよ」
紫芋のタルトを眺めながら言うと、他の味があることに目を見開いた。
(紫芋だけじゃねえのか…)
内心で呟くように思い、それに手を伸ばした時だ。
隣の人間の手まで一緒に伸びてきてその箱に触れ、自然と隣同士の視線が合う。
「「!!!?」」
お互いの姿を見ると、同時にたじろぐように距離を開いた。
どちらも、知らない仲ではなかったからだ。
「因幡…!!?」
「寿!!?」
それは、元・因幡がいたギャングチーム・夜叉のリーダーであり、ノーネーム事件の裏切者の寿研人だった。
互いに驚き、なぜここに、と同じ疑問を浮かべていると、慌てた様子の神崎が因幡の背後から声をかけた。
「おい! なんかどっかで見たことある奴らが、サーターアンダギー食ってるぞっ!!」
おそるおそる因幡がそちらに振り返ると、売店近くで、仲良さげにサーターアンダギーを頬張っている3人組を見つけた。
かつて敵対したことがある、ギャングチーム・黒狐の伏見、稲荷、豊川の3人だ。
こちらが気付くと、あちらも頬張りながらこちらの存在に気付き、豊川は「ぶっ!?」と口内のサーターアンダギーを吹きだすほどわかりやすく驚いた。
.