46:修学旅行に行きましょう。
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沖縄旅行に便乗するため石矢魔生徒全員でやってたのは、当然ながら職員室だ。
「は? 修学旅行にキミ達もつれてけ? 何を言ってるんだ。そんなこと出来るわけないだろう」
生徒指導教師の木戸は、席に着いたままいきなり乗り込んできた因幡達に言った。
「大体、キミ達うちの生徒じゃないだろう。教室も貸してるってだけで、同じ扱いするとでも思ったのか? 費用だって、うちの生徒達は1年からちゃんと積み立ててるんだぞ?」
(((((ものすごく、正論だ)))))
まったくもってその通りだが、だからといって一度点いた火が消える石矢魔ではなかった。
先頭の因幡と神崎と真田兄弟は、くわっ、と睨みを利かす。
「ケッ」と真田兄。
「おいおいセンセーよぉ」と真田弟。
「オレらそんな話しにきたんじゃねーんだよ」と神崎。
「行けんのか行けねーのか」と因幡。
「「「「どっちなんだって聞-てんだよっ!!」」」」
並んで凄む4人に木戸は困惑の表情を浮かべ、もう一度言う。
「だから行けないって言ってるだろ;」
それでも食い下がる4人。
「何ぃ」と真田兄。
「それはつまりどーゆーことだ?」と神崎。
「行けんのか行けねーのか」と真田弟。
「どっちなんだって」と因幡。
「やめなさい」と見かねた邦枝が背後から注意する。
「邦枝くん」
邦枝に気付いた木戸が声をかけると、邦枝は因幡達を通過して頭を下げた。
「すみません、先生。悪気はないんです」
「謝んじゃねーよ邦枝!! 謝ったら負けだぞ!!」
声を荒げたのは神崎だ。
「修学旅行なんて、みんなもう一生縁がないと思ってたから、ちょっと興奮してるだけなんです。許してください」
「人をサルみたいにいうんじゃねえーよ!! ウキィ!!」
サルの声真似で怒鳴るのは因幡だ。
「……………まぁ気持ちはわからんでもないがな…。私の一存で決められることじゃないだろ。父兄会には絶対反対されるし」
そこで現れたのが早乙女だ。
「ほほう。それはつまり、校長(じーさん)にかけ合えばなんとかなるってことですな?」
「早乙女先生。困りますよ、先生がこんな調子じゃ」
「木戸先生、私はね、今回のことを通じて生徒達に、あきらめないことの大切さ、困難に立ち向かう姿勢というものを教えたいのです」
「目に沖縄の空と海が!!」
おそらく修学旅行に行きたい気持ちの強さは早乙女がダントツだろう。
「あきらめの悪さなら、もう十分だと思いますよ?」
「―――それにね、木戸先生…。こいつらにも少しはまともな、学生の思い出ってやつを作ってやりたいじゃないですか」
そう言って笑みを浮かべた早乙女は、因幡と邦枝の頭に手を載せた。
(学生の…)
(思い出……)
その響きに、因幡と邦枝の心が動かされる。
石矢魔生徒は、今では邦枝を含め、ほぼ全員が修学旅行に行くことだけを考えていた。
中心はもちろん言い出しっぺの早乙女だ。
教室に戻ってくるなり、授業などそっちのけで作戦会議が行われた。
「―――ということでだ。クソッタレ共っ!! 作戦の概要はわかったか!!」
「「「「「お――――っ」」」」」
ほとんどの石矢魔生徒がコブシを上げるのか、ふと神崎は隣の姫川に「おまえが金でなんとかしろよ」と言うが、姫川は「やだよ」と即答。全員の分を出してやるほどお人好しの姫川ではなかった。
早乙女は作戦の概要を説明する。
「いいか? うちの校長にただつめよってもおそらくうまくいかん。何故ならあのじじい、実はアホ程ムキムキだからだ!! そこで!!3班に分かれての波状攻撃をしかけるっ!! 名づけて、石動校長籠絡作戦(I・K・R・S)!!」
「「「「「I・K・R・S!! I・K・R・S!!」」」」」
「アホ程ムキムキは関係ねーだろ;」と男鹿。
盛り上がりと掛け声は増す。
男鹿とヒルダ以外が一致団結していた。
そんな様子に、早乙女は、ふ、と笑う。
「大丈夫。おまえらなら、うまくやれるさ…」
「先生…」
それは学園青春ドラマのような、教師と生徒の絆が深まる瞬間だった。
「なにコレっ!!」
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