04:育ての親より不良の親。
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「捨て子だぁ?」
夏目になだめられ、落ち着いた姫川は神崎に事情を話した。
「おまえの教室の前に?」
「オレは金持ちだからな。面倒みてくれると思ったんじゃねーのか?」
ありえそうだ。
全員が頷く。
「押し付けられても困るんだけどな…」
姫川は赤ん坊を見る。
見つめ合っていると、きゅー、と小さな音が聞こえた。
「あーう…」
「どうした?」
先程まではしゃいでいた赤ん坊の元気もない。
「腹減ってんじゃねーか? …ヨーグルッチ飲むか? チビ」
神崎は両手を伸ばし、赤ん坊を抱き上げた。
それを見た姫川とその部下達は構える。
「馬鹿! そいつはオレじゃないと…」
「きゃっきゃっ」
しかし、神崎に抱きあげられても赤ん坊は泣かなかった。
むしろ、喜んでいる。
「オレじゃないと、なんだ?」
そう聞きながら、神崎はポケットからヨーグルッチを出して飲ませようとした。
「あれ?」
首を傾げる姫川。
「城山、ちょっとこいつ持ってろ。今、ヨーグルッチやるから」
赤ん坊を持っていては、ストローをパックに差せないからだ。
「はい」
城山が赤ん坊を持った途端、
「びええええええ!!!」
また大泣きが始まった。
突然のことに、神崎、夏目、城山、姫川の体が傾く。
「つまり…、姫ちゃんと神崎君以外、受け付けないんだね、そのコ」
試しに夏目も抱いてみたが、こちらは大泣きといわず半泣きされてしまった。
「強い奴にしか懐かねえってか?」
「のちに、どこかで聞くフレーズだな」
神崎は高い高いとしてあげる。
「楽しいか、ボーズ」
「あ? 嬢ちゃんじゃねーのか?」
「オレはてっきり男だと…」
「確認したらどうだ?」
「確認って…」
「……………」
「……………」
2人はそっと、赤ん坊を包んだ学ランの上着をめくって確認しようとした。
「あだぁ!!!」
「「ぐはっ」」
しかし、赤ん坊は2人の鼻に蹴りお見舞いし、阻止した。
鼻を押さえてうつむく2人。
赤ん坊にしては強烈な蹴りだったようだ。
「し、失礼しました;」と神崎。
「この反応…、お嬢さんだな;」と姫川。
神崎は一度赤ん坊を机に座らせ、ストローを差したヨーグルッチを飲ませようとしたが、赤ん坊は首を横に振って拒否する。
「…飲まねぇな…」
「やっぱり母乳がいいんじゃないのか?」
「母ちゃんどころか、女もいねーぞ、この学校」
「てめぇのチチでも吸わせたらどうだ?」
「…は?」
「いつもヨーグルッチ飲んでんだ。……出るだろ(キラリ☆)」
「出てたまるかぁ!!!」
「絞り出せ!!」
「てめぇのクソリーゼントを絞るぞ!!」
再び言い争いを始める2人。
赤ん坊は止めようとしているのかあたふたと慌て、バランスを崩して机から転落した。
「「!!」」
床に激突する前に、神崎と姫川は同時に赤ん坊を受け止める。
「っぶねぇ!」
神崎はホッと息をつき、姫川は「はぁ」と項垂れた。
「落としたらシャレになんねぇぞ」
それを眺めていた夏目は苦笑する。
「姫ちゃんと神崎君…、パパとママみたいだね」
「「ブッ殺すぞ夏目ぇ!!!」」
「うわぁ、こわーい」
あからさまに怯えるフリをする夏目と、再び「きゃっきゃっ」と喜ぶ赤ん坊。
そこで一度教室を出ていた城山が布を持って戻ってきた。
「神崎さん、教室の前にこんなの落ちてました」
「…ズボン?」
首を傾げ、神崎は城山からそれを受け取った。
なぜズボンが落ちているのか。
広げてひっくり返してみると、ポケットからなにかが落ちた。
赤ん坊は四つん這いでそれに駆け寄って握り、嬉しそうにかかげた。
「それって…」
神崎組には見覚えがあった。
因幡に渡したはずの、トロピカルフルーツ味のポップキャンディーだ。
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