44:さぁ、合いの手を。
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「な…っっ」
勝利を得たのもつかの間、突如、取り返したはずの校舎が炎上し始めた。
焔王が泣いたのだ。
そうとは知らず、因幡は茫然とそれを見上げる。
「ンフフ…。坊っちゃまが…、泣いてるのね…」
「!」
気が付いたのか、フィフニールは仰向けのまま不敵に笑っていた。
「坊っちゃまは、癇癪を起されると、辺りを火の海にしてしまう…。このままだと…、町まで燃え広がるかも…」
炎の勢いは増している。
まだ中には石矢魔の生徒がいるはずだ。
「呑気に…、笑ってんじゃねえっ!!」
ゴッ!!
「!!」
因幡は燃える壁に向かって蹴りを入れ、自身の左脚をめり込ませた。
すると、そこから徐々に炎が氷漬けになっていく。
“砕け散る毒(フリージングポイズン)”!!
学園内にいる全員が、その光景に目を丸くした。
パアァンッ!!!
氷漬けにされた炎は粉々に砕け、朝日の光とともに溶ける結晶。
燃え広がろうとした炎を食い止めたものの、残ったのは、黒焦げに全焼した校舎だ。
「あ―――…。学校が…」
呟くとともに髪色も元の黒髪を取り戻し、因幡はその場に仰向けに倒れた。
「……ねぇねぇ」
「…あ?」
未だに倒れたままのフィフニールが因幡に声をかけた。
「今のはなに…? さっきの使えば、私の脚を氷漬けにすることくらいできたじゃない…」
「……こっちは好きじゃねえんだよ…。消えない傷(凍傷)ができるし、それで恨まれたくもねえしな…」
豊川がいい例だ。
生きている人間や悪魔にはできるだけ使いたくない。
因幡は白んだ空を見上げながら言葉を継ぐ。
「力と力で、てめえとのケンカに勝ちたかったんだよ」
「あは…っ。ガキね…、やっぱり…」
遠くで数人の駆ける足音が聞こえてきた。
「あ、いたいた!」と夏目。
「因幡―――!!」と城山。
「誰だ生き埋めにされたなんて言ったのは! 救助隊呼んじまったじゃねーか!」と姫川。
「てめー、負けたんじゃねえだろうな―――!!?」と神崎。
こちらに駆け寄ってくる4人を目の端で見た因幡は、「くくく…」と笑う。
「そんなガキの位置が、楽しくて仕方ねえんだ…」
.To be continued