44:さぁ、合いの手を。
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それは瓦礫の向こうにいるフィフニールも同じだった。
「ンフフ…」
「チッ…」
瓦礫に生き埋めにされる前に、因幡は神崎と繋がり合っていた鎖を断ち切って神崎とは反対の方向に飛び、壁を蹴り砕き外へと避難していた。
しかし、フィフニールはそれについてきてしまった。
「ねぇねぇ、これでサシで踊れるわね」
「……………」
フィフニールの視線が因幡の千切れた鎖の先に移る。
「賢明な判断…。断ち切らなきゃ、仲間ごと生き埋めになるところだったわね…」
戦いを見る限り、鎖の長さは8mが限界のようで、それ以上離れることはできない。
因幡が神崎を巻き添えにしないようにわざと鎖を断ち切ることを、フィフニールは読んでいた。
彼女なら瞬時の判断でそうするだろうと。
これで初めて出会った時と同じだ、とほくそ笑む。
「向こうにはリンちゃんがいることだし、仲間が皆殺しにされるのが先か、あなたが先に私に嬲り殺しにされるのが先か…。楽しみねぇ…」
舌なめずりするフィフニールをよそに、因幡は瓦礫で埋まった壁の穴に振り返る。
「こっちを見てよ…。ねぇ!?」
ゴッ!!
「ぐっ!!」
瞬時に背後に現れたフィフニールの突き出された右足が腹にめり込み、向かい側の校舎にぶつかる。
「げほっ」
うつぶせに倒れた因幡を見て、フィフニールは落胆の溜め息をついた。
「あーあ、なんの進歩もない…。それどころか、あんな人間の手を借りないと強くなれないの? がっかりだわ…」
「………っ」
「コッチの血が混じってるくせに、変に人間と肩を並べようとするのが理解できない…。ねぇねぇ、センスは認めてあげるんだから、あなたも柱師団に入らない? 私から団長にお願いしてあげてもいいのよ」
「せっかくだけど…、お断りだクソアマ」
血を吐き捨て、因幡は立ち上がり、フィフニールを睨む。
「頷いておけば命はとらないって言ってるのに?」
「とられるつもりもねーから」
不敵に笑う因幡に、フィフニールの片眉が吊り上がる。
「あなただけじゃない。お友達の命も助けてあげるって言っても?」
「しつけぇ。神崎達ならまだ大丈夫だ。鎖が切れても、最長でも3分は“尻尾”がもつはず…」
「たった3分よ」
嘲笑するフィフニールに、因幡は右手で3本の指を立たせ、
「そのたった3分以内で、てめえをブッ転がす」
すぐに親指だけを立たせて、それを下に向けた。
「……!」
因幡の両目が赤く染まった瞬間、フィフニールは自身の肌が不意に粟立つのを感じた。
因幡の周りの空気がざわついている。
「あの瓦礫があるかぎり…、あいつらが「今のオレ」を目にすることはねえようだし…」
徐々に、因幡の髪が、メッシュの部分を残して真っ白に染まっていく。
「ここから先は、粋なブレイクダンスを見せてやるよ」
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