43:いっしょに、肩を並べて。
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突然現れた、リンドブルムとフィフニール。
その後ろには2人の柱将もいる。
「本命のご登場ってわけだ」
待ちわびたように因幡の口端がつり上がる。
「リンドブルム様、フィフニール様、お下がりください」
そう言って前に出たのは、片眼鏡の男だ。見下すような目を因幡達に向け、コブシを鳴らした。
「お2人が出るまでもありません」
「そうそ。たかが人間4匹と、人間側に寝返った侍女悪魔一匹…。オレ達柱将クラスだけで十分だ。アンタらは魔王の契約者のところに行ってくれて結構だぜ?」
片眼鏡の男と肩を並べてそう言ったのは、無精髭の男だ。
こちらは魔力を右腕に纏わせる。
「第9の柱、イアー」と無精髭の男。
「第16の柱、クェドバスケモド」と片眼鏡の男。
因幡と神崎と向かい合わせになったとき、因幡はクェドバスケモドに人差し指でさし、隣の神崎に顔を向けて尋ねる。
「あいつの名前…、3回連続で言えるか?」
「けどバスケもどき、けどバスケもどき、けどバスケもどき」
名前を残念に間違え、言い切った挙句ドヤ顔の神崎に、夏目と因幡は口元に手を当てて「ぶっ!!」と噴き出した。
その背後のイザベラと城山は呆れている。
クェドバスケモドの額にくっきりと青筋が立った。
その隣に立つイアーと、背後にいるリンドブルムとフィフニールも笑いを堪えている。
「貴様ら…っ!!」
怒りのままに突進しようとしたクェドバスケモドだったが、因幡と神崎の様子に思わず足を止める。
「……なにをしている」
「「ん?」」
因幡と神崎は、背中合わせになって互いの腕を絡ませていた。
夏目は笑みを浮かべたまま説明する。
「これはねー、“かつぎ合い”っていう準備体操だよ。あまり担ぎすぎると、担がれた人が落ちちゃうから要注意」
「痛たたっ! 神崎屈みすぎっ! 身長差も考えろっ」
バキバキッ、と因幡の背骨が鳴る。
「アハハッ。なにそれ。ねぇねぇ、リンちゃん、私達もやる?」
指をさして笑いながら、フィフニールはリンドブルムの袖を引っ張って尋ねた。
「お断りだっつーの」
因幡達の、こちらを馬鹿にするような行為に、クェドバスケモドは再び地面を蹴り、イアーも仕方なくといった様子でそれについていく。
「殺す!!」
「あーあ、怒らせやがって」
ゴガンッ!!
「「「「「!!?」」」」」
次の瞬間、クェドバスケモドとイアーが回転しながら吹っ飛んだ。
リンドブルムとフィフニールを横切って床に派手に転がり、ビリヤードテーブルに激突して気絶している。
フィフニールが、はっと神崎と因幡を見ると、神崎は左脚、因幡は右脚を突き出して立っていた。
「たかが人間がなんだって?」と因幡。
「ドタマカチ割られてーか?」と神崎。
「そんな馬鹿な…!!」
「柱将が一撃で!?」
「なんなんだ、あの人間共は!!」
その場にいるベヘモットの兵士達も騒然としていた。
「どういうことだ…。片方のヤロウは至って普通の人間だろ…」
「そうね…。あのコより実力は下のはず…」
なぜ、と思った時、フィフニールは2人の間にあるものに気付いた。
2人は、細かい輪が連なるチェーンで繋がれていた。
2人の間で床に垂れさがるそれは、ガラスのように透き通っている。
神崎は「はぁ…」とため息をつく。
尻に、またあのウサギのシッポが出現しているからだ。
今度は、因幡の尻にも出現していた。
チェーンは、2人のそのシッポに繋がっている。
“アイシングドロップ・ラビットテイル”
それが因幡の新技だ。
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