04:育ての親より不良の親。
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
泣きやまぬ赤ん坊。
その泣き声は窓にヒビを入れるほど強烈なものだった。
教室にいる者達はうるさそうに顔をしかめ、己の両耳を塞いでいる。
「頼んでもねえのにどこから拉致ってきたんだ!!?」
「違います違います!! 教室の前に落ちてたんです!!」
「落ちててたまるか!! 誰のだ!!?」
「知りません!!」
「だったら拾うな!! 捨ててこい!!!」
「どこにですか!!?」
「どこでもいい!! 耳がおかしくなっちまう!!!」
「びええええええ!!!」
いつまで経っても泣きやまぬ赤ん坊に、ついに姫川は、
「うるせええええ!!!」
キレて赤ん坊の両脇をつかみ、上に高く上げた。
「きゃははっ」
すると、泣いていたのが嘘だったように赤ん坊は嬉しそうに笑った。
教室内が赤ん坊の泣き声から無邪気な笑い声に支配される。
「おおっ」
「泣きやんだ…!」
「さすが姫川さん! 泣く子も黙るほど…!」
姫川も予想外のことだった。
むしろ、余計に泣かせてしまうんじゃないかとすら思っていたのに。
「ほ…、ほーら…」
「きゃっきゃっ」
赤ん坊を高く上げたり低く下げたりすると、すごくはしゃがれる。
「まさか…、姫川さんの子どm」
ボゴッ!
「ぐはぁっ!」
赤ん坊を右手に抱え、左手のスタンバトンでその部下の顔面を容赦なく殴りつけた。
「そんなヘマするほど落ちちゃいねーよ」
そう言ってサングラスをくいっと上げた。
赤ん坊は倒れた部下を見下ろし、「おー」と興奮している。
「ったく…、そこのおまえ、こいつ持ってろ」
窓際にいた他の部下を呼び、赤ん坊を預けようとした。
だが、
「びええええええ!!!」
またスイッチを押したように泣き出した。
「ひ、姫川さん!!」
赤ん坊を持っているため、自分の耳を塞げない部下は苦しげである。
姫川に近づけると、赤ん坊は「ふええ」と泣き声を弱め、姫川に両手を伸ばした。
「チッ」
舌を打った姫川は、もう一度赤ん坊を抱っこする。
「きゃっきゃっ」
やはり赤ん坊は笑顔に戻った。
この場にいる生徒の誰もが疑い始めた。
本当は姫川の子じゃないか。
「おい、今、本当はオレの子じゃないかと思った奴、名乗り出ろ」
全員がさっと視線を逸らした。
「名乗りでねぇなら全員殺す」
「どっちにしろ全員死ぬじゃないですか!!」
「ふえ…」
「おー、よしよし。今、キレーな花火見せてやるからな」
((((オレ達花火にされる…!!?))))
全員が逃走しようとしたとき、
「さっきの泣き声なんだ? 犬でもいんのか?」
「犬って…。あんな口から光線出すような泣き方するかな、神崎君」
神崎達がやってきた。
そして神崎は姫川が抱っこしている赤ん坊を見て目を疑った。
他の神崎メンバーも。
「え…と…」
姫川と赤ん坊。
似合わない構図だ。
それが今目の前に広がっている。
眉間を抑える神崎。
何度見ても、姫川と赤ん坊。
「…………おお」
神崎は手を叩き、姫川に指をさす。
「誘拐犯だ!!!」
「よし!! 特大花火見せてやるぜ!!!」
姫川はスタンバトンを構え、電流を流した。
(そこは、姫ちゃんの子ども、とは思わないんだね、神崎君;)
夏目は内心でツッコんでいた。
.