42:ただいま修行中です。
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肉体の修業、精神の修業、それを繰り返して早くも4日が経過しようとしていた。
男鹿と邦枝が首切島で修行をし、神崎達もそれぞれペアになって実践形式でお互いの力試しをしている間、因幡は屋上で、文字通り自分自身と戦っていた。
早乙女の持ってきた、例の魔界のラジカセから現れた自分自身の影と。
そんな因幡の足には、魔力を封じ込める足輪が外されていた。
「ぐっ!!」
何度か打ちあっていたが自分の影に蹴飛ばされ、ペントハウスに背中を打ちつけてぐったりとする。
「そこまで」
桜が声をかけると、因幡の影は立ち止まった。
「ま、まだだ…!」
はっと顔を上げた因幡は首を横に振り、立ち上がろうとするが、桜はそれを手で制す。
「休んで、考えなさい」
「姉貴…」
「この影、あなたが足輪をしている状態と変わらないのよ? 足輪を外したはずのあなたが負けたのは、なぜ? …自分の魔力をうまく使いこなせていない証拠」
「……………っ!」
「男鹿君とは場合が違うの。あなたは悪魔の血が混じった人間…。元から魔力を兼ね備えているから、自力でその魔力をなんとかしないといけない。いつまでもお漏らしばかりして、おしめを替えてもらう赤ん坊じゃないんだから…」
その頃、力試しを終えた神崎達は、古市とアランドロンを連れた、サテュラとイザベラと対面していた。
*****
利害一致でサテュラとイザベラに味方についてもらうことになり、悪魔野学園との決戦まで残り2日。
昨日と同じく、因幡は足輪を外したまま、自分自身と戦っていた。
それを腕を組んで見守っているのは、早乙女とブラックベル坊だ。
「魔力を形にしろ。コハルの“アイスライン”と同じような力を、おまえも備えているはずだ」
それを聞いて思い出したのが、魔界に行ったとき、大きなサソリを凍りづけにして砕いた、あの力だ。
「……………」
“フリージングポイズン(砕き割る毒)”。
その力は、魔界に行く前も使えていた。
豊川の顔面に凍傷を負わせたのだ。
それが駆使できれば、勝算はぐっと上がるはず。
しかし、どちらもどのように考えて使用したのかうまく思い出せない。
ゴッ!!
「あ…っ!」
そうこうしていると、自分の影の右脚のハイキックが延髄に直撃した。
脳が揺れ、次の瞬間にはその場にうつ伏せに倒れる。
「そこまでだ」
「ぐ…っ、もう1度…!」
目眩を引き起こしながらも立ち上がろうとする。
これでは昨日となにも変わらない。
「休め」
「はぁ? まだやれますけど…!?」
余裕の笑みを浮かべようとしたつもりが、引きつった笑みになってしまう。
早乙女は後頭部を掻きながら、呆れるようなため息をついた。
「決戦前に体壊す気か。まだ2日あるんだ」
「もう2日しかねえんだよ!! 悪魔2人が仲間になったからって、相手の数を見ろよ! オレ達のうち、ひとりでも殺されちまったら…、オレはきっと…、正気を保てねえ…っ!!」
想像しただけでも、体が震えてしまう。
「…気持ちはわからなくねーが…、あいつらも強くなってんだ。…もうちっと信用してやっても…」
ガチャンッ!
「「!!」」
なにかが壊れた音に早乙女と因幡がそちらに振り向くと、そこにはラジカセを倒して喜んでいるブラックベル坊がいた。
力強く倒されたラジカセの周りには、その部品が散乱している。
「おま…っ」
ラジカセを壊され、早乙女は咥えていたタバコを落とす。
瞬間、ラジカセから次々と因幡の影が出現した。
「な…!」
それと、ラジカセが壊れたことによって、総勢30人の因幡の影は本人どころか早乙女にまで襲いかかってくる。
「チィッ! 暴走しやがった…!」
「てめえ保護者だろが!! ガキの管理くらいしっかりしろよっ!!;」
2人分の蹴りをかわしながら因幡は早乙女に怒鳴る。
「とにかくこいつらを一体一体、潰せっ!!」
影のひとりの顔面をつかんだ早乙女は、そのまま足下に叩きつける。
すると、やられた影はフッと闇に融ける。
(…オレがあれだけ苦労したってのに、あんなあっさり…!)
悔しい思いが生まれ、因幡は目の前の敵を睨む。
「やってやろうじゃねえか…!!」
その時、ペントハウスのドアが開く音が後ろから聞こえた。
「因幡ー、ちょっと様子見に来てやったぞー」
「いつまでやってんだ」
神崎と姫川だ。
「ば、馬鹿!! 来んじゃねえっ!!」
影達が一斉にやってきたばかりの2人に飛びかかり、因幡は地面を蹴り、神崎の後ろに回り込んで背中合わせになり、最初に神崎の背後を狙おうとする影に立ち向かおうとした。
そして、異変は生まれた。
.To be continued