40:悪魔の学園、開校です。
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ベヘモット34柱師団の、アギエル、オドネル、ゼラの柱将と出会った神崎達は、馳せ参じた邦枝にアギエル達の足止めをしてもらっている間に、その場から退却するために薄暗い廊下を駆けて出口を目指していた。
「くそっ。なんでオレ達が逃げなきゃなんねーんだ!?」と神崎。
「何言ってんの!! 葵姐さんに言われたでしょう!?」と大森。
「そーっすよ!! 邦枝先輩が助けに来てくれなかったら、ヤバかったっスよ!?」と古市。
「それより、いいんスか? めりこんだ人達、そのまま置いてきて」
先程、アギエルに吹っ飛ばされ、ガラスを突き破って外の塀に並んでめり込んだ他の石矢魔生徒を気にする花澤に、姫川は「ほっとけ。めりこんだくらいじゃ死なねーから、あいつら」と前を向いて走りながら返す。
そんな中、ひとり「アハハ」と楽しげな夏目が言う。
「いやー、大変な事になったねー。まさか石矢魔の校舎がのっとられるなんて…。全面戦争ってこういう事だったんだねー」
((なんで嬉しそうなんだ…、この人))
飛鳥と梅宮が呆れていると、いつの間にか吹き抜けに出た。
「!」
同時に、突然神崎達の前に人影が飛びだした。
「ヒャハッ」
「なっ…」
複数の人影が神崎達の前に踊り出、行く手を塞ぐ。
「なんだ…!!」
「こいつら…!!」
神崎に続いて姫川が言葉を繋ぎ、たじろぐと、吹き抜けの他の階や、先程走って来た廊下から次々と人影がわらわらと現れる。
人影は全員、不気味な笑みを浮かべていた。
「うおっ」
「見ろっ。後ろからも」
「てゆーか囲まれたっスよ!!」
「気持ち悪っ!!」
人影のひとりが狙いを定め、飛鳥に襲いかかる。
「わっ…!! 来んな…」
「リョーコさんっ!!」
梅宮が声を上げたとき、
ドズン!!
夏目が飛鳥に襲いかかる人影の頭をつかみ、その腹を蹴り上げた。
飛鳥に襲いかかった人影はその場に沈み、それを見ていた数人の人影が怯えた表情を見せてたじろぐ。
「夏目先輩!!」
「神崎君、大した事ないよ、コイツら!!」
相手の力量をはかった夏目が肩越しに言うと、神崎は「おおっ!!」と城山とともに相手に突進した。
神崎は襲いくる相手の横っ面を蹴り飛ばし、城山はラリアットで2人ほどまとめてブッ飛ばす。
「千秋!!」
「はい」
それに続くように、大森は鎖を、谷村は2丁のエアガンを取り出した。
的確に連続で相手の眉間を撃つ谷村。
そんなメンバーに古市は頼もしさを覚えた。
「!」
エアガンを連射していた谷村の横で青白い光が閃く。
横から谷村に襲いかかろうとした敵を、姫川がスタンバトンで倒した。
「姫川先輩」
「気ぃぬいてんじゃねぇ。どんどん増えてんぞ」
そう言って倒した敵を蹴飛ばす。
辺りを見回せば、人影の群れよりは先程よりも多くなっていた。
神崎達を完全に取り囲んでいる。
「………っ」
全員が背中を合わせた。
逃げ道が見当たらない。
いくら各々が常人より強いとはいえ、これだけの数を相手にしていては長くはもたないだろう。
「つーか、きりねーぞ、これ」と神崎。
「ゾンビ映画かよ…!!」と姫川。
「ねぇねぇねぇ、ゾンビって…なに?」
「「「「「!?」」」」」
全員が突然聞こえた女の声の方に顔を向けた。
人影の群れが道を開け、そこを通ってこちらにやってくるのは、ダークブラウンの内巻きボブの髪型、上は踊り子が着るような赤のボレロ、下は同じく踊り子が着るような赤のフレアパンツ、その上から柱師団のコートを着ている、大人びた女だ。
「人間界って、知らない言葉ばかりあるのね…。ぼうや達、お姉さんに教えてくれない?」
「女…?」
こちらにやってくる女に、神崎達は警戒する。
(あのコート…、ベヘモットの…!)
いくら古市が女好きとはいえ、油断ならない雰囲気を身に纏った女性に近づくほど軽率ではなかった。
「ワタシ、フィフニール…。ねえ…、誰が最初に死んでくれるの? やっぱり、坊っちゃまが目の敵にしてる…キミから?」
フィフニールの目が、古市に留まった。
「え」
微笑みを向けられ、不意にドキッとした古市だったが、次の瞬間にはフィフニールの顔が目前に迫る。
「「古市!!」」
神崎と姫川が声を上げると同時に、フィフニールは右脚に勢いをつけた。
古市に避けることは不可能だ。
「あ…」
ガキィッ!
それを受け止めたのは、人影の頭を踏み台にジャンプして一気に古市達の前に飛び出した因幡の、右脚だ。
「うちのモンになにしようとしてくれてんだ」
「因幡先輩!!」
「…へぇ?」
普通の人間とは違うなにかを感じたのか、フィフニールの口元が歪んだ。
.To be continued