40:悪魔の学園、開校です。
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「うわ。なにアレ」
3階建てのマンションの屋上から、遠くにある幕の取り外された石矢魔校舎を見て、因幡は口をポカンと開ける。
外見は高校の校舎というより、西洋の城に近い。
時計塔まである。
立ち止まっている間に、姫川のヘリが校舎に到着したのが見えた。
脚に自信があっても、ヘリには勝てなかったようだ。
「……………」
そんなことは気にせず、因幡は風に混じったなにかを感じ取った。
ピリピリとした空気が、石矢魔校舎から流れている。
左足を一歩踏み出し、石矢魔校舎へと向かおうとしたとき、
「!」
右足が地面に貼りついたように動かなかった。
“行くな”
「あ?」
止めたのは、右靴に宿る悪魔・シロトだ。
足下を見下ろす因幡に、シロトは警告を続ける。
“貴様も感じておろう。あの建造物、魔力で満ち溢れておるぞ。魔窟といったほうがいいか…”
「……たった3ヶ月ちょっとで出来あがっちまうから、胡散臭さはカンジてたんだ。力抜けよ。姫川達が入っちまう前に止める」
“門自体を潜るな。奴らに気付かれる。おヌシに無謀なことはさせん”
「あ゛ぁ?」
頑なにその場から動こうとしないシロトに青筋を浮かべた因幡は、シロト(右靴)だけそこに置いて行こうとしたが、足首に食い込んだように抜けなかった。
「行かせろやコラァ…ッ!!」
“む…っ!”
地面からまったく離れようとしないシロトに構わず、因幡はずるずると重い靴を引きずりながら下へおりる階段を目指す。
シロトも負けじと踏ん張る。
マンションを出た頃には、因幡より先に到着した神崎達は石矢魔高等学校の看板から、悪魔野学園にかけ直された看板の前で、ハトが豆鉄砲を食らったような顔をして立ちつくしていた。
焔王に校舎を乗っ取られてしまい、悪魔野学園に乗り込むことにした神崎達。
校門の前で胴衣姿の古市と、途中で一足早く到着していた姫川と合流し、門の先にある、趣味の悪い焔王の銅像が並ぶ中庭を抜けたあと、昇降口へと入ってしまった。
その頃、因幡は、
「ママー、あのお兄ちゃんなにしてるのー?」
「しっ。見ちゃいけませんっ」
「しつけえぞクソ靴ゥ~ッ!」
いつものように飛び跳ねることもできず、踏ん張るシロトに抗い、重い靴を引きずりながら地道に悪魔野学園へと距離を縮めつつあった。
因幡が通ったアスファルトには、白く削られたような跡が線となって伸びている。
“桃、やめておけ。悪魔の血が少しでも混じったおヌシならわかるはずじゃ。今回ばかりは本物の悪魔が相手じゃぞ…! 一度退け! おヌシの仲間はもう奴らと接触しているはずじゃ! 諦めろ! もう助からん!”
「命令すんじゃねえ!! 逃げたきゃ、てめーだけ遠慮せずにオレの足から抜け出して逃げりゃいいだろ! 大丈夫だ。うちの奴らなら…」
“チッ…”
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