40:悪魔の学園、開校です。
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「うぉおおぉぉっっっ!! 石矢魔ふっかぁぁあぁっつっっ!!!」
石矢魔の校舎が復活すると聞いて、石矢魔クラスの不良が声を上げ、次々と他の不良達も教卓の前に集まり、「バンザーイ」と喜びを露わにしている。
中には泣く者もいた。
「うう…。ついにこの時が」
「オレ達の楽園がかえってくるんだ」
「長かったな…」
「あぁっっ!!」
それを遠巻きに見ているのは、神崎、因幡、城山、夏目の4人だ。
「はしゃいでんなぁ…」
朝にセンチメンタルになっていたことがアホらしくなる因幡と、「やれやれ…」と呆れて苦笑する神崎。
「ウチの野郎共はアホばっかりだ」
「そんな事言って、神崎君もまざりたいんでしょ。いっといでよ」
「バーカ、オレはあそこまでガキじゃねーよ。校舎が新しくなったくらいで」
騒ぐ不良達に、神崎は苦笑を浮かべながらもうずうずとしていた。
「よぉーし!! 誰が一番にラクガキするかジャンケンしよーぜ」
「バカ、オレに決まってんだろ!!」
「いーや、オレだね!!」
「オレだっっ」
ラクガキ順で争う不良達。
そこで、ついに耐えきれなくなった神崎が、教卓の上に飛び乗って注目を集める。
「クソッタレ共がっっ!! そいつは石矢魔のトップ神崎さんの仕事だろーがっ!!」
「あっ、ズリィーっスよ神崎さんっ!!」
「順番だ、順番!! 一人一回8文字まで!!」
「うんこマークは一文字に入るんスか!!」
「うんこマークはダメだ!! 幼稚すぎるからな!!」
「じゃあオレガラス割ります!!」
「ガラスも一人一枚だ!!」
自分ルールを押しつける神崎と、それに従う不良達と、なだめようとする城山。
「ガキかあいつら…」
「因幡ちゃんもいってきたら?」
「い…っ、いやっ、オレはいい…」
そこはぐっと、揺れて落ち着かない脚をつねって堪える。
*****
そして算数の授業中、新校舎が出来たと聞いて落ち着かない教室の中、ついに一度は落ち着いた神崎が再熱した。
「よぉし野郎共っ!! 新しい校舎を見に行くぞぉぉっっ!!」
突然席から立ち上がり、教卓の上に立つ。
「「「「「おぉおっ!!」」」」」
こちらも同じく気になって仕方なかったのか、他の不良達も一斉に立ち上がり、神崎に煽られる。
「いや、あのね、神崎君。今、授業中なんだけど」
教科書を片手に授業していた佐渡原は、神崎の突然の行動に驚かされるが、教師としてたしなめようとする。
「だが、しかしっ!! その前に仁義を欠いちゃならねぇっっ!! 全員、佐渡原に注目ーっっ!!」
「え? 神崎君…」
「今までお世話になりました―――っ!!」
神崎がクラスを代表して礼をすると、他の不良達も労った。
「「「「お疲れ様っしたーっっ!!」」」」」
「うん。うん。授業中なんだけどね…、まだ。あと、そこ教卓」
意外な人物からの感謝の言葉と、授業の妨害に、嬉しさと悲しさの混ざった涙が出た。
早速とばかりに神崎は他の不良達を引きつれて教室を出て行く。
その後ろについていくのは夏目と城山と因幡だ。
「校舎見に行くだけなのに…」と呆れる因幡。
「パネェ。神崎先輩、ウチらも行くっスよー」
「あ?」
花澤含め、他のレッドテイル達も便乗する。
「ほらっ、寧々さんも行きましょう」
「え…、えぇ…。いいのかしら…」
教室には、姫川と佐渡原だけが残った。
「君は行かないのかい?」
たった一人残って授業を聞いてもらえると思ったのだろう、佐渡原の声が跳ねる。
「あ? バカ言ってんじゃねーよ」
そう返したあと、窓の外からヘリのプロペラ音が近づいてきた。
窓を見ると、縄梯子が垂れさがっているのが見える。
「竜也坊っちゃま、お迎えに上がりました!!」
近づいてきた自家用ヘリのドアが開かれ、蓮井がスピーカーを手に、教室にいる姫川に声をかけた。
姫川は席を立って窓際に近づき、肩越しに佐渡原に振り向く。
「オレ、ヘリでいくから」
(…もうヤダ)
マイペースすぎる石矢魔生徒に、佐渡原は最後まで泣かされた。
石矢魔の新校舎に向かっていた神崎達も、姫川の乗ったヘリに気付き、神崎は上空のヘリを指さして「アホだ、アホがいる」と声を上げている。
姫川はヘリの窓を開け、スピーカーで叫ぶ。
「一番のりはオレが貰った―――っ!!」
ハハハハハハハ、と高笑いをのせて飛び去って行くヘリ。
「あっ」
「汚ぇっっ!!」
「競争しようってか…。くくく、この因幡様の脚に勝てると思うなよ―――っ!!」
闘争心を燃やされた因幡は弾かれたように地面を蹴り、神崎の横を通過し、塀や屋根へと飛び移り駆けていく。
「てめえも本気出してんじゃね―――っ!!!」
最初は歩いていた神崎達も走り出した。
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