38:リーゼントとウサギ。
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「終わるなぁああああ!!! モノロ―――グ!!! 今オレ大変なことになってんだぞ!!!」
神崎に残っていた魔力から、必要な分だけ吸収した姫川は、裸の王様ならぬ、全裸の王子様になっていた。
全裸で神崎にまたがるその姿は、人によっては大変美味しい光景だが、人によっては変態に見える。
あなたはどっち?
「後者だっ!!! まず神崎は迷わず後者を選ぶっ!!!」
幸い、まだ眠ったままだ。
これで目を覚まされれば先程の雰囲気はブチ壊し。
明日から石矢魔の生徒達の間で「姫川は変態」と噂が広がることだろう。
過保護な神崎の家の者達だって黙ってはいないはずだ。
「姫川!!」
「ひ!!」
大袈裟にビクリと体を震わせ、ドアの方を見たが閉まったままだ。
「姫川」
声のした方に振り返ると、そこにはいつの間にいたのか因幡が立っていた。
今の状態に姫川が言い訳を始める前に、因幡は顔を逸らし、石矢魔高校のジャージを投げ渡す。
「は…、早く着ろ…」
「因幡…っ」
用意の良さと自分を罵倒しない様子に、姫川はようやく安堵を覚えた。
このことを予想していたのだろう。
「吸われすぎるとその姿になるらしい」
着替えた姫川は、簡潔に説明した因幡に駆け寄るなり、
「先に言えやあああああっっっ!!」
「サーセンッッ!!」
怒りの飛び蹴りを食らわそうとしたが、因幡は反射的に弓なりに背を反らして避ける。
「ったく、オレ達のこのおかしな現象…、もしかしてずっと続くのか?」
姫川はジャージと一緒に渡された色眼鏡をかけ、不安そうに尋ねると、因幡は「安心しろ」と不敵な笑みを浮かべた。
「それはこれから…、この屋上にいる逃亡犯に聞いてみる」
「…は?」
すると、いきなり誰が入ってきたわけでもないのにドアが勢いよく開いた。
「!?」
「逃がすかぁっっ!!!」
キッと目付きを鋭くさせた因幡は、開かれたドアの向こうへと走る。
「因幡!?」
追いかけようとした姫川だったが、足下に広がる蛍光ペンキに足を止めた。
階段に付着しているのは、因幡のスニーカーの足跡と、もうひとつは、ヒールのついたブーツのような足跡だった。
「誰か…いたのか?」
「うるせえな…。なんだよ…」
その騒ぎに、神崎は目を覚ました。
「あ、姫川」
「よ…、よう…」
姫川は先程の自分の行為を思い出し、後ろめたさに視線を逸らす。
(よく考えたら、オレ3回もこいつと…)
因幡の前に、まずは神崎との接し方を考えさせられた。
神崎も、先程の練習を実行べきかと考えていた。
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