37:今の友達は、ただそこで…。
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そこから因幡、男鹿、神崎は止まることなく暴れ回る。
因幡は明智の紐で両手を背中に縛られているにも関わらず、足技だけで敵を蹴り倒していた。
その顔には楽しげな笑みが貼りついていた。
ジャンプし、両足でノーネームの2人の顔面を踏みつけ、着地して素早く回し蹴りで相手を蹴り飛ばし、その近くにいたノーネームまで巻き添えにして吹き飛ばす。
(楽しそうだな…)
神崎は、久々の蹴りで暴れ回る因幡を見つめて思う。
男鹿も男鹿で、コブシで次々と殴りつけては壁や天井にめり込ませている。
敵側の方が気の毒になってきた。
「死ねオラァッ!!」
「!」
横から神崎に向かって殴りかかってくる男。
構えようとした神崎だったが、その前に男の顔面に、メリケンサックと鉄パイプが直撃し、大きく吹っ飛んだ。
「てめー、なに簡単にやられそうになってんだよ。ダッセ」
「あ?」
助けたのは、豊川と伏見だ。
伏見は足下に落ちた金属バットを神崎に投げ渡し、「持ってろ」と小さく言った。
「てめーらの助けなんざいらねーよ。引っ込んでろ。また神崎さんに泣かされてえのか?」
嘲笑混じりに言われた豊川は、カァッと怒りと羞恥で顔を真っ赤にさせて神崎に顔面を近づけてガンたれる。
「てめー…人の黒歴史を…っ。「因幡達を助けてあげて」って稲荷さんに言われなきゃ、今頃そのツラ、デコボコにしてやってるとこだ!! これ、自作じゃなくてホントの話な!!」
「できもしねーこと並べてんじゃねーぞ。ああ?」
「ケンカ…やめろ…」
伏見が止めようとしたところで、2人組のノーネームが襲いかかって来た。
神崎と豊川は同時に振りかぶる。
「「邪魔すんじゃねえっっ!!」」
ゴキンッ!!
神崎の金属バットと伏見の鉄パイプが襲いかかる2人を野球ボールのようにブッ飛ばした。
「泣き虫ぃ、てめーの相手はあとだ」
「ほざけ。姫川の奴がいなくて寂しくねーのか?」
歯軋りを立てながら睨み合う神崎と豊川。
「だから…、やめろ…」
伏見は2人の間に割り込み、その頭をつかんで引き離した。
その時、伏見の巨体に明智の紅大蛇が全身に巻きつく。
「!」
「伏見!」
動きを封じられ、伏見はムリヤリ引き千切ろうとしたが、明智は「無駄無駄」と笑う。
「1本ならともかく、この数だ。…喰われな」
明智が両腕を上げて一気に紅大蛇を引くと、上半身の服は破れ去り、掻き切れた皮膚から鮮血が噴き出した。
「ぐ…っ」
「伏見ぃ!!」
金属バットを曲げるほどの防御力の高い伏見が膝をつき、神崎は驚愕の表情を浮かべる。
豊川は伏見に駆け寄り、生々しい傷にまみれたその体を見、明智を睨みつけた。
「てめぇ…っ!」
鉄パイプを構えて突進しようとする豊川の右肩を、神崎がつかんで止める。
「!」
「くくく…。いい判断だ、神崎。オレの間合いに入れば、そいつもボロ雑巾みたいになるのが目に見えたか…」
明智は小さく笑い、明智はタバコを取り出して1本口に咥えた。
「何度もその手品を見れてればな…」
「手品…。そう見えたか…。まあ、オレも手に入れて間もないこの力を、魔法のようなモンだとは思ってる…」
そう言いながら、タバコに火を点け、煙を吐いて言葉を続ける。
「てめーに追いつきたくて手に入れた力だ。てめーのようになりたくて手に入れた力だ…。すっかり追い越しちまったけどな…」
「ほざけよ。そういうのは、オレをブッ倒してから決めゼリフに使いやがれ」
金属バットを一振りして先端を明智に向けると、明智は鋭い目付きで神崎を見、煙を吐き出しながら言う。
「歴然としてるから言ったんだ」
右手をかざすと、右袖から飛び出した3本の紅大蛇が神崎の腕に絡みついた。
「!!」
「まずは右腕」
勢いよく退くと、袖を貫通した鉤針が容赦なく神崎の袖ごと右腕を掻き切った。
「ぐっ!!」
足下に金属バットが転がり落ちる。
「神崎、オレだってダチを痛めつけるのは心が痛む…。こっち側に戻ってきてくれないか?」
「…絶交だって言っただろ」
「顔も見たくないって?」
薄笑みを浮かべた明智が左手を振るうと、1本の紅大蛇が神崎の頬を打った。
「っ!!」
「神崎…!」
因幡が走り寄ろうとしたところで、目の前に寿が現れ、ナイフを横に振るった。
「っ!」
唐突だったので後ろに飛び退いたものの、右頬に横一線の傷ができる。
「てめーはオレとマジで相手してくれるんだろ? 因幡」
「寿…!」
その冷たい目に、寿のこめかみに青筋が立つ。
「そんな目でオレを見てんじゃねえよっ!!」
声を荒げ、因幡目掛けナイフを振るった。
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