36:復活しました。
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
下から聞こえる騒ぎに、名護は引きつった笑みを浮かべる。
「…どうしてこうなった」
「だから言ったろが。帰るなら、てめーひとりで帰れ」
「けど、助けに来るとは限らないんじゃ?」
「誰が助けなんて待つかよ。オレもそろそろ…、覚悟決めねえとな…」
そう言って因幡は、ブチリッ、と足首に巻かれた紐を自力で引き千切った。
「!」
名護の口元から笑みが消える。
「大人しく待つヒロインってガラでもねーし」
手首を背中で縛られたまま、因幡は立ち上がり、右靴の爪先で床を叩いた。
「…シロト、力を貸せ。おまえ、オレの魔力を調整できるんだろ?」
“! …ワシを頼るのか?”
「ああ。―――で、けっこう重要な話、オレの加減を調整できる自信は?」
“あるに決まっておるじゃろう。ワシは、コハルからおヌシに託された契約悪魔じゃぞ?”
「……オレを裏切るなよ? 人間殺したらオレはてめーを許さない」
“責任転嫁か…。生意気な…。しかし、待ちわびたぞ、その言葉”
シロトが妖しい笑みを浮かべたように聞こえた時だ。
シロトが宿る右靴が魔力を帯び、因幡のズボンの右膝上から下が弾け飛んだ。
さらけ出された右脚の肌には、青の、男鹿の右腕に浮き出てくるような紋様が浮かび上がる。
「…!!」
暴れるような魔力の風に、名護は腕で顔を庇い、笑みを浮かべた因幡の顔を見た。
「まずは、足慣らしといくかっ!!」
因幡は右脚を高々と振り上げ、勢いよく床に振り下ろす。
ドゴン!!
「なっっ!!」
(出だしから…、こんな力が使えるのかよ…!!)
名護は唖然とする。
因幡の姿は消え、床には大きな穴が空いていた。
ゴゴゴゴゴゴ!!!
廃ビルの揺れに、1階にいる全員の動きが一時的に停止する。
「な…、なんだ?」と豊川。
「地震…か?」と伏見。
「ビルが揺れてる…?」と古市。
ゴガァッッ!!!
「「「「「ぎゃああああああっっ!!!」」」」」
突然天井が崩れ、その場にいる全員が絶叫しながら蜂の巣をつついたように落下してくる瓦礫から逃げ惑う。
部屋は埃に包まれる中、瓦礫の上に因幡が着地した。
「遅いから自力で来ちまったじゃねえか。神ざ…」
振り返り、飛び込んできた光景に言葉を止める。
神崎が姫川の頭をつかんで熱烈なキスをしていた。
満足したのか、神崎は姫川を放す。
その場にうつ伏せに倒れる姫川。
「姫川ぁぁぁ――――っっ!!!」
いつまでああしていたのか、姫川は口端からヨダレを垂らして白目をむき、青い顔でピクピクと痙攣している。
悶死寸前だ。
“ふむ。窒息しかけておる”
「見ればわかるわっ!!」
“むさぼったのう…”
「言い方エロいっっ!!」
「はっ!!」
体の熱もひいて我に返った神崎は、姫川の傍でしゃがんでいる因幡の存在に気付く。
「お。因幡、無事だったのか」
「おぅい、せっかくの復活劇が台無しだなぁ」
テンションが下がる因幡。
「うぉっ! どうした姫川ぁっ!!」
神崎は姫川の肩をつかんでガクガクと揺さぶる。
“夢中になって記憶がとんどる”
「…みたいだな」
しかし、知らない方がいいだろう。
呆れる因幡とシロトは黙っておくことにした。
「抜け出してきたか…っ」
「とんでもないバケモノだぜ、マジで…」
埃も舞い落ち、視界が良くなってきたところで明智に続き、寿が言った。
「寿…」
「明智…」
因幡と神崎は因縁の2人と睨み合う。
「潰せ!!!」
明智が声を上げると、ノーネーム達が一斉に飛びかかった。
同時に、部屋の壁が吹き飛んだ。
「「「「「!!」」」」」
全員がそちらに顔を向けると、
「お邪魔しまーす」
男鹿が部屋に足を踏み入れた。
「男鹿!!」と神崎。
「来たよ、おいしいとこどり」と因幡。
「てめー、今までどこ行ってたんだよっ!!」と古市。
「いやぁ、道に迷っててよ~。胡散臭い占い師に案内されてきたけど、頼るもんだよなぁ…」
「ダブ」
「―――で、暴れていいわけ?」と男鹿。
「見ればわかんだろが。味方側もいるから間違えんじゃねーぞ」と神崎。
「ま、向かってくる奴らから、ブッ転がせばいいんだよ」と因幡。
姫川も並んでいれば、もっと格好がついただろうが、残念ながらこちらは復活までもう少し時間がかかる様子。
「姫川の仇、この神崎さんがとってやるぜっ」
「……………」
姫川は神崎のせいだけどな、と因幡はあえてつっこまなかった。
.To be continued