03:突然訪問は失礼です。
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
そのあと、3人は2階の因幡の部屋へとやってきた。
床はリビングと同じくフローリング、中央には小さな丸いテーブル、台に載せられたこちらも大型テレビ、部屋の右側にはクローゼットと机、左側にはベッドと本棚、正面には小さな窓がある。
3人は小さなテーブルを囲んで座っていた。
「なるほど。…そりゃ、母さんが迷惑かけたな」
事情を聞いた因幡はため息をつく。
「あの人、職業が漫画家だからさ…。シメ切が近づくと、現実逃避なのかできもしないことをしようとする傾向があるんだ。この間は町一番高い木に登って下りれなくなってた。大変だったぜ。警察が来るわ消防車が来るわで…」
その時のことを思い出し、因幡は遠い目をする。
「そりゃまたスゲー傍迷惑な…」と姫川。
「身がもちそうにねえな」と神崎。
「アレが母親って、似てないにも程があるだろ。それに、なんでこんな裕福そうな環境でグレたのか…」
「それ、てめぇにだけは言われたくねえな」
即姫川に言い返す因幡。
神崎は指をさしながら言う。
「こいつはグレたんじゃねぇ。もとから性格がねじ曲がってんだよ」
「否定はしねーよ?」
姫川は立ち上がり、本棚を眺め始めた。
「オレは…、色々と事情があってだな…」
「ウッソ、これおまえか?」
いつの間にか、姫川は小学校のアルバムを見つけて取り出し、小学時代の因幡を見ていた。
「ちょ…!!」
「どれどれ?」
神崎も立ち上がってのぞきこむ。
生徒名簿にはいかにも良いところのお嬢ちゃんといった、幼い因幡の写真があった。
髪は長く、誰からも好かれそうな愛らしい顔をしている。
面影も残っているが、今とは雰囲気が別人だ。
「誰だこいつ!!?」
「おまえ、あの金持ち小学校にも通ってたのかよ」
「見んじゃねえ!!」
ボコッ×2
頭にコブが出来た2人。
「とにかく、もういいだろ。帰れよ、おまえら」
「あら、もう帰っちゃうの?」
振り返ると、いつの間にいたのか母親が扉を少し開けて中を窺っていた。
「母さん、いつから…」
「えへへ」
「「えへへ」じゃねーよ! 大体、もうすぐで姉貴と春樹が帰ってくるだろ」
姫川と神崎は耳を疑った。
「姉貴」。
この容姿で3人の子持ちのうえ、高校2年より上の子どもが存在するのだ。
疑問を残しながらも、神崎と姫川は因幡の家を出た。
見送ったのは、因幡の母親だった。
「神崎君、姫川君」
声をかけられ、2人は立ち止まって肩越しに振り返る。
「また遊びに来てね。…あのコ、前まで遊びに来てくれる友達もいなかったから…」
「「……………」」
2階の因幡の部屋の窓を見上げると、窓からこちらを窺う因幡と目が合った。
因幡は慌てて逸らす。
「また学校でなぁ、桃ちゃん」
神崎がそう言い、姫川も小さく手を振る。
窓はガラリと勢いよく開けられ、因幡は顔を真っ赤にしながら叫ぶ。
「桃ちゃん言うなぁ!! 学校で呼んだらマジ転がすぞ!!」
「おお怖っ」
「かわいくねーの」
そんな3人を見ながら、母親は安堵の笑みを浮かべた。
.