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「意外」
「なにが?」
口元に薄笑みを浮かべて一言発した名護に、因幡は刺のある口調で問う。
先程の男達のこともあり、警戒している様子だ。
「寿氏に裏切られたってのに…、傷口開いて塞ぎこんでるかと」
火傷のことを知っているのか、名護は自分の後ろ首を指さした。
それを聞いた因幡は「フン」と鼻を鳴らす。
「…神崎達(あいつら)に裏切られてなけりゃ、それでいい。あいつらは自覚してるかどうかわかんねーけど…、オレのこと、身内みたいに大事にしてくれてるみたいだし…」
自惚れじゃなかった。
実際、神崎は古なじみであるはずの明智より、自分を取ってくれたのだから。
敵側だったはずなのに、襲ってきた男達も撃退してくれた。
思い出しただけで、その口元は優しく緩む。
「―――で、おまえなにしにきたわけ?」
「警戒しなくていいよ。ノーネームが夜叉を取り込むまで、オレはなにもしない。ただ楽しく喋りたいだけw」
「……………」
露骨に怪訝な目を向ける因幡。
「あ。信用されてない」
「するか。もしあいつらが本格的に手を組んだら、なにかするってことだろ?」
「オレの家に連れてくw」
「そう言ってる時点で警戒するっつーのっ!!」
あっさりと危険な発言をする名護につっこむ。
名護は「卑猥な意味じゃなくて…」と手をひらひらとさせた。
「ホント、ただ連れてくだけ。明智さんとはそういう契約だから」
「契約?」
因幡が片眉をつりあげて返すと、名護は頷く。
「ノーネームは、元々、ネット上のチャットサイトだった。集まるのは、文字通り“名のない”チンピラども。ギャングチームの連中や、2つ名のある不良共の陰口や不満を飽きもせずに並べて、互いの傷口を舐め合うだけの痛いサイトだ。そんな痛い奴らに管理人が手を差し伸べた」
“管理人 オフ会をしましょう 次はあなた方が陰口を叩かれるほど嫉妬される人間になれます。”
「人間って好奇心だな。すぐに集まった。100人以上が集まって、管理人が力を分け与えてやると、ギャングチーム“ノーネーム”の誕生した」
「……………」
ノーネームの誕生話に、因幡は黙って耳を傾けている。
「その中にひとり、“力”と相性のいい男がいた。それが明智さん。相性がいいほど、あのガラス―――魔力の結晶が黒く染まる。たまにいるんだよな、そういう人間。管理人は明智さんをリーダーにすることを条件を連中に出した。せっかく手に入れた力を失ってたまるものかと、奴らはあっさりOK。しばらく次々と他のギャングチームを潰す連中の暴れっぷりを傍観したあと、また次の指令を出した。…因幡桃を捕まえること」
「!」
自分の名前が発せられ、目を見開いた。
それを見た名護は言葉を続ける。
「けどなぁ…、管理人的に、本当は今の暮らしを断ち切るくらいの思いを受けてもらってから連れ帰りたかった。「私もう誰も信じないっ」。「大丈夫さ。オレだけを信じるんだ」。ひしっ。な展開にしたかった。しょぼん」
「キモい展開だな…」
一人二役を演じる名護に気持ちが引く因幡。
「なーんて話してたら、時間だ」
「!!」
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