35:ウソツキを見つけました。
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「騙してたクセにどの口が…っ」
神崎は明智を睨み、黙って因幡を監禁していたことに憤慨していた。
明智は冷めた目で見下ろし、ため息混じりに言う。
「おまえのためを思ってだよ。…で、その女とオレ、どっちにつくんだ?」
神崎の答えは決まっていた。
人差し指を上に向け、宣言する。
「てめーとは絶交だ」
「そっか。こっちは平穏に、良い友達でお別れするつもりだったが…、残念だ」
明智は右手を振るい、袖から鉤付きの紐が飛び出し、神崎の首に巻きつける。
「く!?」
締めつけられると鉤が食い込み、無闇に引っ張れない。
「神崎…!」
因幡も神崎も身動きが取れない状態だ。
開け放たれた扉からノーネーム達が入ってくる。
「因幡を7階に閉じ込めておけ。神崎を捨て夜叉共の檻に入れろ。直に寿と約束の時間だ。計画が狂ったこと、寿にどうやってうまく伝えようか…」
「…どういうことだ…?」
因幡が怪訝に片眉を吊り上げて尋ねると、明智は面倒臭そうに答えた。
「あ? バカが。いい加減気付けよ。てめーは寿に売られたんだよ…。やがて、他の夜叉も簡単に売ってくるだろうな」
「明智ぃ!! てめー、あいつと…!!」
内通していたことまでは知らなかった神崎に、明智はくつくつと笑う。
「そう。絶交したんだから、もうネタばれしていいよな? オレは寿と繋がっていた。おまえを先にこちらに呼ぶことで、オトモダチの因幡が来るように差し向けた…。わかりやすいだろう?」
神崎は明智に殴りかかろうとしたが、数人のノーネームに押さえつけられてしまう。
「助けを期待してもムダだからな。銀髪の2人はこっちが押さえたし、アバレオーガは今頃ここにたどり着けずに立ち往生してるはずだ…」
「「!!」」
因幡と神崎は驚いて目を見開く。
「連れてけ」
ノーネーム達にそう言って部屋から出て行く明智。
因幡と神崎はそれぞれの部屋に連れて行かれ、名護はそれを目の端で見送り、因幡をいたぶろうとした2人の男にゆっくりと近づく。
「痛つつ…」
「クソ…」
魔力のおかげで一撃ではノビなかったようだ。
「大丈夫ですかー?」
名護は2人に近づき、両手を差しのべた。
2人は「悪いな」とその手をつかみ、それを支えに立ち上がったが、名護は手を離さない。
「? …おい」
放せ、と口にしようとしたところで、バキリッ、と生々しい音が聞こえた。
「え?」と2人が自分の手を見ると、手の甲のガラスごと手の骨が握り潰され、複雑骨折していた。
「う…っっ!!」
「ぎゃああああっ!!」
部屋に響く断末魔。
名護は眉ひとつ動かさず、叫ぶ2人の顔を大きな瞳で見つめる。
「神崎氏に感謝するんだな…。てめーらを止めなきゃ、オレが殺してるとこだったよ」
「な…、名護…!?」
「力を手に入れたからといって調子に乗るなよゴミ屑共。今度アレに汚い手で触ったら、今度は整形不可能なくらい顔の骨を砕くぞ」
いつもの飄々とした彼ではなかった。
殺意の込められた言葉に男達は砕かれた手を押さえ、悲鳴を上げながら部屋から飛び出した。
「…………あ。ヤベ…。自重自重」
両手に付着した血をズボンで拭き、部屋から出ようとした時だ。
「!」
外の霧の異変に気づいた。
(さすが魔王の契約者…。ゼブルブラスト(魔力)で霧の結界を破ってきたか…。いや、それだけじゃないな。他にも誰かが手を加えやがった…。迷宮を抜けられるのも時間の問題だな…)
「ンフフ。キチガイな奴らばっかでマジオレ得♪」
楽しくなってきた名護は、頬のガラスを指で弾いて取り払う。
「ノーネームの勢力拡大が成立したら、ゲーム終了。オレの勝ちになっちゃうけど…、ここまできたら負けたくなっちゃうよなぁ」
天井を見上げ、7階に連れて行かれた因幡に向けて微笑む。
「いい仲間に恵まれてることだし…。それにおまえがどう応えるかだ」
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