03:突然訪問は失礼です。
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今、因幡の脳内は酷く混乱していた。
(なぜこんなところに神崎と姫川がいる? なぜうちの母親とコーヒーを飲んでる? 神崎ってコーヒー飲めるんだ? なんで母さんそんなに楽しそうなの?)
沈黙を破ったのは、母親だった。
「おかえり、桃ちゃん」
「桃…?」と神崎。
「ちゃん…?」と言い継ぐ姫川。
そこでようやく因幡は言葉を発する。
「どうして…、おまえらが…」
「こんなところに」と続けようとしたとき、
「「ぶっ!!(笑)」」
神崎と姫川が噴きだし、大口を開けて笑いだした。
「だはははは!! 桃ちゃんだってよ!!(笑)」
「ぎゃはははは!! そういや桃ちゃんだこいつの本名!!(笑)」
椅子から落ちて笑い転げる2人を、母親は微笑ましげに見つめている。
「桃ちゃん桃ちゃん!! ぎゃはははげほげほっ!!(笑)」
「はぁ、はぁ…、 あれ? 桃ちゃんどこに…」
先に姫川が落ち着いて身を起こしたが、因幡の姿はいつの間にかリビングから消えていた。
かと思えば、再び開けられ、因幡が入ってきた。
その手には、血痕がこびりつき、若干くの字に曲がっている金属バットが握られている。
「ブッッッ転がす!!!!」
因幡は2人に躍りかかり、バットを振り回した。
「うおっ、危ねぇ!!;」
「おい冗談なく死ぬぞそれ!!;」
「桃ちゃん!!!」
姫川に向けてバットを振り下ろそうとしたとき、姫川がスタンバトンを取り出す前に、母親が間に入ってきた。
振り下ろされたバットが目前で止まる。
「まだそれ持ってたの? いい加減に捨てなさい。また新しいバット買ってきてあげるから! それじゃボール打ちにくいでしょ!」
((天然…))
母親の後ろにいる2人は同時に思った。
「けど、母さん…」
「お友達は大事にしてあげて…!!」
母親は大泣き寸前だ。
因幡は刺激しないようにゆっくりとバットを下ろし、「悪かったよ」と言った。
「つうか、また車で出かけようとしただろ? その突発的なチャレンジ精神はもうやめてくれ;」
家に入る前に見てしまった、後ろが凹んだ車を思い出し、そう言いながら母親の頭を優しく撫でた。
「母親は大事にしてやれ桃ちゃん」
「そうだぜ桃ちゃん」
「おまえら、せっかく救われた命を無駄にしてぇか?」
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