34:ウソツキは誰ですか?
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聞き終えた姫川は小さく「そうか…」と呟いた。
「この町に残ったオレは、先にその寿を叩くことにした。そうすれば、あいつが来ることはねーし、捕まえたらウソかどうかはっきりするだろ? …けど…」
「逃げられ続けて、結局因幡を引きつれて戻ってきたってわけか…」
「そ」
神崎は短く答え、頷いた。
「…因幡に理由を話さなかったのは?」
それには神崎も「あー…」と口を濁した。
姫川が「言わねえから」と言うと、口を開く。
「……同じ人間に2度も裏切られてみろ…。あいつってけっこうデリケートなとこあるだろが…。過去のカサブタ剥がすようなこと、言いたくねえし、させたくねえ」
「…なるほど。お優しいことで…」
そう言って姫川はその不器用さに小さく笑い、「けどな…」と続ける。
「今回のことで、あいつ、相当気落ちしてるぞ。オレは慰めるのヘタだし、そっちの事情と寿のことは、触りでもいいから教えた方がいいんじゃねえか? とりあえず、完全に敵じゃねえことは伝えねえと…」
「気落ち…。そっか…」
「頭悪いクセに変に考えるからだ。容量も悪い」
そこまで言われると神崎はムッとした顔をする。
「うっせーよ。………じゃあ、ちょっと頼まれてくれねえか?」
姫川に物を頼むのは不本意なことだったが、神崎は一度廃ビルに戻り、小さなメモ用紙に文字を書いたあと、また路地に戻ってそこで待つ姫川に四つ折りにしたメモ用紙を一枚渡した。
「これ、因幡に渡してくれ。勝手に見るなよ?」
「おう」
「本当はメールにしたかったが、ここ、電波悪いんだよな」
「あー…」
姫川はここに来る前にケータイをいじろうとしたが、圏外だったことを思い出す。
「そろそろ他の奴らが怪しんでくるかもしれねえから」
「わかった」
神崎が先に戻ったのを確認すると、姫川はメモ用紙をポケットに入れて路地を出た。
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